袈裟丸山最高点

今日は、ようやく気温も下がってきたということで、袈裟丸山でヤブ歩きを満喫(?)してきた。

この山は昨年5月に塔ノ沢口から後袈裟まで歩いているのだが、袈裟丸山全体の最高点はそのさらに北方にあるため、“袈裟丸山を歩いてきた”というのにはいまひとつスッキリしない気分。地形図で見ると距離自体は大したこと無さそうなのだが、その間のルートは相当ヤブっぽいらしく、いろんな意味でヤブの落ち着いてくるこの時期を待って歩いてみることにした。

なお、袈裟丸山の最高点の呼称については2説あるようであり、ネット上で有力そうなのは1,957.9mの三角点があるピークを奥袈裟とし、その先にある1,961mピークを単に“最高点”と呼ぶもの。これに対し、この1,961mピーク自体を奥袈裟と呼ぶ方も相当数いらっしゃるようであるが、ここでは前者の呼称を採用することにする。

さて、ヤブ以外の問題点としては、日の短くなったこの時期、歩くのにどのコースを選択するかという問題。一番距離が短いのは後袈裟まで直接行ける郡界尾根コースなのだが、登山口まで一番遠いため車の運転が大変そうだし、また、どうせなら前→後→中→奥の順で歩きたいということで弓の手コースを選択し、午前6時12分に折場口の駐車場を出発する。

以前歩いた塔ノ沢コースとは対照的にこちらは最初から尾根を進んで行くコースであり、すっかり葉を落とした樹林帯の中をズンズン上っていく。出発時点ではちょっと心配だった空模様も改善の兆しが見られ、左手の開けたとても気持ちの良い稜線を上って6時51分に賽の河原到着。

ここで塔ノ沢コースと合流し、その先も小丸山(7時28分)〜避難小屋(7時36分)〜前袈裟(1,878m。8時12分)と順調に進んで行く。鞍部である八反張(8時30分)では手摺の一部が新しくなっており、そこを慎重にクリアして8時44分に2度目の後袈裟(1,908m)。今日は、安全度を考慮し、11時までに目的地に辿りつけないようなら中途撤退の予定であるが、まあ、この調子なら何とかなりそう。

次の中袈裟へは、いきなりシャクナゲのヤブに行く手を阻まれるものの、足下を見ると事前学習のとおりちゃんと踏み跡は付いている。深い笹に隠れて分かり辛いところも少なくないが、ルートは基本的に稜線上に続いているようであり、9時14分、中袈裟(1,903m)に無事到着。あまり期待はしていなかったが、どこかの神社の御札と一緒にちゃんと山名板も掛かっていた。

中袈裟の先はしばらく平坦な道が続くが、木の枝に結ばれたテープが急に目立つようになるとそこが重要な左折ポイント(9時26分)。ここから一時的に稜線を離れる感じになるが、その分目印のテープは多目であり、それが見当たらなくなった辺りで再び稜線に復帰し、さらに進んで行くと、9時51分に小さな石柱のある小ピークに着く。

ここまでくれば奥袈裟はもうすぐであり、コース中唯一のちょっとした岩場をよじ登り、右手の切れ落ちた断崖に注意しながら進んで、10時11分に奥袈裟(1,957.9m)到着。しかし、こちらでは期待した山名板は見当たらず、上の方ばかり探して歩いていたので三角点にも気付かないまま通り過ぎてしまう。

最後のヤブはこれまで以上に手強かったが、俺のヤブ嫌いも既に相当麻痺してしまっているようであり、両手で顔をガードしながら進んで行くと、ようやく右手が開けた狭い山頂に辿りつき、ここが袈裟丸山の最高点(1,961m。10時26分)。御札の掛かっている木の根元に落ちていた山名板を拾い上げ、証拠写真に収めさせて頂いた。

撤退予定時刻にはまだ余裕があったが、あまりの人気の無さにかえって落ち着かず、休憩は後回しにして下山にとりかかる。奥袈裟(10時47分)で往路では気付かなかった三角点(=ルートのすぐ西側にある。)を確認し、小ピーク(11時4分)〜中袈裟(11時33分)と歩いて後袈裟(11時58分)まで戻ってくると、ここで今日初めて他の登山客に出会う。

ようやく人心地ついた気分ではあるが、狭い山頂にはゆっくり腰を落ち着けられるようなスペースも無いため先を急ぎ、前袈裟(12時24分)で大休止。持参したパンと温かい紅茶で昼食を取ってから、避難小屋(13時5分)〜小丸山(13時15分)〜賽の河原(13時49分)と進み、14時21分に登山口の駐車場まで戻ってきた。

ということで、後袈裟の先は予想どおりのヤブ歩きだったが、この時期になれば俺の嫌いな生き物の気配は薄く、まあ、我慢すれば耐えられるレベル。奥袈裟から先では通じなかったものの、中袈裟や後袈裟の山頂からは自宅へメールすることが可能であり、それだけでも随分と勇気付けられました。