ザ・ロード

以前、DVDで拝見した「ザ・ロード(2009年)」の原作となるコーマック・マッカーシーの小説。

原作なんだから当たり前なんだけど、何らかの理由により著しく荒廃してしまった世界を父子がショッピングカートを押しながら南を目指して旅をするというストーリーは、ほぼDVDで見たとおりであり、あのちょっと甘すぎるような気もするラストシーンも全く一緒。ベストセラー小説ということで、地味〜だった映画とは何か別のアイデアがあるのではと思って読んでみたのだが、どうも当てが外れたらしい。

一番大きな違いは、原作の方には少年の母親が登場しないことなのだが、父子を除いたその他の登場人物にしても印象は極めて希薄であり、その分、“父子の物語”というこの作品の性格が映画よりも一段と際立っていたとは言えると思う。

ということで、まあ、俺は父親の方なんで、あのような絶望的な状況においても我が子の幸せを願わずにはいられない男親の気持ちを噛み締めながら、一緒になって被虐的な喜び(?)に浸れた訳であるが、正直、世のお母様方がお読みになったら、ちょっとお気を悪くされるんじゃないでしょうか。