ハメット

先日、DVDで見た映画「ハメット(1982年)」の原作小説であり、著者はジョー・ゴアズ

小説家ダシール・ハメットが、彼の創造した探偵コンチネンタル・オプ(のモデルになった人物)と一緒に事件の捜査に当たる、という魅力的な設定が忘れられず、今度は原作の方を読んでみた訳であるが、設定はともかく、ストーリーの方は全くの別ものといって良いくらい違う話だった。

小説家ダシール・ハメットがひょんなことから探偵稼業にカムバックする、という基本設定は同じだが、冒頭で彼を訪ねてくる元同僚の名前はヴィック・アトキンスンであり、イメージ的には映画でピーター・ボイルが演じていたジミー・ライアンを思わせるようなところもあるのだが、捜査手法はかなり強引で、当然、コンチネンタル・オプのモデルでもない。

小説の方には、もう一人、ジミー・ライトという名前の探偵が登場し、実はこちらがオプのモデルになった人物なのだが、残念ながら彼の出番はあまり多くなく、終盤、ハメットが悪女クリスタル・タム(=映画のクリスタル・リンの原型)によって窮地に立たされたときも、目立った活躍は見られなかった。

ということで、ハメット&オプ・コンビの大活躍という夢はまたしても空振りに終わった訳であるが、まあ、小説自体はそう悪くはない。ただし、ハメットの恋の相手が二十歳前後(?)の小娘グッディというのはちょっとあんまりであり、映画のキット・コンガーの設定年齢を何歳か上にしたのは、正しい判断だったと思います。