至仏山

今日は、群馬県片品村にある至仏山を歩いてきた。

尾瀬ヶ原の西端に位置するこの山は、鳩待峠からピストンで登るのが一番簡単らしいのだが、それではちょっと物足りないということで、山の鼻経由で山頂を目指す方のルートを選択。例によって、時間と体力が許せば、下山の途中にお隣の笠ヶ岳まで足を伸ばすという計画を立ててみた。

さて、昨夜の天気予報はいま一つだったのだが、今週末になると自家用車の乗入規制が本格化するということで、回復傾向という予報を信じて午前5時過ぎに鳩待峠に到着するが、自宅を出たときから降り続く雨は一向に止みそうな気配はなく、少々風も強まってきているみたい。

仕方ないので、様子を見るために下のほうの広い駐車場に車を止めてボーっとしているといつの間にか寝入ってしまい、6時過ぎになって駐車場の職員の方が車のガラス窓を叩く音で目が覚める。駐車料金(@2,500円)を支払った後、休憩所前の駐車場にまだ2台分空きがあるというので、そちらに移動させて頂くことにする。

すると、驚いたことに休憩所の前には既に大勢の登山客が集まっており、次から次へと至仏山の登山口に入っていく。実は、下の駐車場でボーっとしていたとき、計画を変更して至仏山へのピストンにすべきかどうか迷っていたのだが、この大勢の登山客の後についていくのはゾッとしないので、当初の予定どおり山の鼻を目指して6時41分に駐車場を出発。

山の鼻までは一昨年家族で歩いたことがあるので、何の問題もない。ちょっと雨脚の衰えたような中、ひっそりと静まり返った木道を歩いていくと、40分足らずで山の鼻に到着。尾瀬ヶ原方面との分岐(7時19分)を左折したところで至仏山の雄姿が拝めるようになるが、頂上は雲に隠れているものの、森林限界の上に伸びている登山道の様子はここからでも良く見える。

これならば至仏山の中腹から尾瀬ヶ原を眺められるかもしれないと思い、登山口(7時24分)の先に続く階段状のルートをズンズン上っていく。7時45分に森林限界の標識を越え、その先のベンチのところで満を持して後ろを振り返ると、期待したとおり、雨に煙る尾瀬ヶ原を一望することが出来た!

雨水で沢のようになったルートはその後も山頂に向かって真っ直ぐに続いており、振り返ればいつでも尾瀬ヶ原の様子が眺められる。木製の階段が切れると悪名高い蛇紋岩がゴロゴロした道に変化するが、あらかじめ滑りやすいと分かっていれば、足場の選択の余地のない木道より気が楽なくらい。8時11分に最初の鎖場が出てくるが、上りで使う分には何の問題もない。

最後の鎖場のあたりから周囲が白くなっていき、どうやら雲の中に突入したらしい。風や雨脚がやや強まる中、8時39分に高天ヶ原を通過するが、ここまでくるともう尾瀬ヶ原は全く見ることが出来ない。登山口からここまで誰とも出会わなかったが、突然、上の方から大勢の人声が聞こえてくるようになり、8時52分、至仏山の山頂(2228.1m)に到着。

山頂は決して狭くはないのだが、かなりの規模の団体さんが登ってきているらしく、ほとんど満員状態。周囲は真っ白だし、ゆっくりしていられるような雰囲気でもないため、何とか山頂の石碑を写真に収めた後は、ウイダーインゼリーを一袋食べただけで下山に取り掛かる。

既に団体さんの下山も始まっていたのだが、山の鼻方面への下山は禁止されているため、どんなに込んでいても小至仏山方面へ進むしかない。5人や10人なら先に行かせてもらいたいところであるが、先頭が何処だか分からないような状況ではそうもいかず、おとなしく前の人に付いていくことにする。

岩場で何度か渋滞したが、全体的には思ったよりもスムーズに行列は進んでいき、まあ、雨中の滑りやすい蛇紋岩&木道のルートを下っていくことを考えれば、この方が安全かもしれないなあ、と考えながら小至仏山頂(9時37分)〜オヤマ沢(10時1分)と進み、10時49分に駐車場まで戻って来た。

ということで、笠ヶ岳への往復は省略してしまった訳であるが、山の鼻経由で登ったおかげで尾瀬ヶ原の様子を眺めることができ、まあ、大きな不満はない。また、初めての本格的な雨中の山歩きをこのような整備された環境で体験出来たのは、ある意味、運が良かったのかもしれません。