メゾン・ド・ヒミコ

2005年作品
監督 犬童一心 出演 オダギリジョー柴咲コウ
(あらすじ)
中小企業の事務員として働く吉田沙織柴咲コウ)は、岸本春彦(オダギリジョー)という美青年からの依頼により“メゾン・ド・ヒミコ”という老人ホームで日曜日だけのアルバイトとして働くことになる。そこのオーナーは、彼女が幼いときに家族を捨ててゲイ・バーの主人になった彼女の父親であり、彼は今、末期がんに侵されていた….


ジョゼと虎と魚たち(2003年)」の監督である犬童一心の作品。

オダギリジョー演じる岸本春彦は沙織の父親である卑弥呼の“恋人”であり、したがって、彼女をメゾン・ド・ヒミコに誘ったのは死の床にある卑弥呼のことを思ってのことだったんだろう。

その目的は、作品の後半で描かれる卑弥呼の沙織への告白によって一応達成される訳であるが、彼女がメゾン・ド・ヒミコで経験したことの効果はそれだけに止まらず、ゲイと呼ばれる男たちの苦悩や身勝手さ、さらには春彦との“恋愛”体験をとおして亡くなった母親の気持ちについても次第に理解するようになる・・・

これら以外にも“老い”とか、老人ホームの経営上の問題とかが絡んでいそうで、本作のテーマはなかなか複雑そう。まあ、このへんは意図的にそうしているのかもしれないけど、見ていて焦点が絞りきれていないという印象が強く、そんな諸問題を未整理のままにしておいてあんなハッピーエンド風のエンディンを見せられても、正直、納得するのはかなり難しい。

できれば、メゾン・ド・ヒミコで生活する人々が繰り広げる悲喜劇をクスグリに使い、沙織と卑弥呼の和解に焦点を絞って作品をまとめあげて頂ければ、きっと俺好みの佳品になったと思うんだけど、まあ、作っている方はそんな低レベルのコメディでは満足できなかったんだろうなあ。

ということで、まあ、ゲイの皆さんが全員“おネエ★MANS”みたいなキャラばっかりだとは思わないけど、本作に出演されている方々はみんなナイーブそうな方ばかりで、ちょっと笑うに笑えない。この監督の作品を見るのはこれが2本目なんだけど、彼はあまり人を笑わせるのは得意じゃないのかも知れないね。