マークスの山

先のイタリア旅行の際、持参した「ラヴクラフト 恐怖の宇宙史」を読み終えてしまった場合の機内ヒマ潰し用に成田空港で購入したもの。しかし、機内では映画ばっかり見ていたんで未読のまんま持ち帰り、やっと本日読了。

ということで、購入動機はボリュームがありそうだからというのが一番だったのだが、読んでみたらとても面白かった。まあ、ミステリイに縁の薄い俺でさえ名前を知っていた程の超有名作なので、当然といわれればそれまでなんだけどね。

それにしても、この作品で描かれる本庁の警察官の方々のお仕事ぶりは大変だね。正に“生き馬の目を抜く”ような世界で、これまでTVドラマで見てきた所轄の警察官による人情味あるチームプレーとは大違い。どっちのほうがより現実の姿に近いのか判らないが、少なくともこの作者の人物描写は力強く、非常に説得力がある。

実は、いくつかの疑問点(=水沢が浅野宅に空き巣に入ったのは偶然なのか?、岩田が野村の殺害を認めたのは何故か?等々)は説明されないままに終わってしまっているんだけど、それが特に不満と感じられないのは、あとがきにも書いてあるようにこの作品が単なるミステリイではないからなんだろう。

ということで、最近読んだこの類の本の中ではこれが一番面白かった。映画化もされているようなので、今度見てみよう。