国のない男

今年の4月に亡くなったカート・ヴォネガットのエッセイ集。これが彼の遺作となった訳だが、残念ながら小説ではなく、ボリュームもそんなにないのであっという間に読み終えてしまった。ちょっと寂しいなあ。

内容は、よる年波(?)となかなか終わらないブッシュ政権というダブルパンチの故か、これまでにも増してペシミスティックな雰囲気が色濃いんだけど、彼の作品の場合、独特のユーモア感覚が救いになっているため、読んでいて辛くなることはない。彼があの圧倒的なオプチミストであるアイザック・アシモフの後を継いでアメリ人間主義協会の名誉会長になったというのも、何か分かるような気がする。

実は、この本を買うときに最近文庫化されたらしい短編集も購入しているんで、もう少し彼の作品を楽しめる訳だけど、やっぱり長編を読んでみたい。今年の初めに「ガラパゴスの箱船」を読んだ後、彼の未読の長編作品(「青ひげ」、「ホーカス・ポーカス」、「タイムクエイク」)を購入しようとしたんだけど3作品とも絶版みたいで入手できなかったんだよね。

ということで、早川書房さん、再版のほうよろしくお願します。