バベットの晩餐会

1987年作品
監督 ガブリエル・アクセル 出演 ステファーヌ・オードラン、ビルギッテ・フェダースピール
(あらすじ)
19世紀後半のデンマークの小さな漁村。厳格なプロテスタント牧師の家庭に育ったマーチネ(ビルギッテ・フェダースピール)とフィリパの美しい姉妹は、父親が亡くなった後も二人きりで周囲の人々への善行に励む暮らしを続けていた。そんなある日、フランス革命によって家族を失った女性バベット(ステファーヌ・オードラン)が二人を訪ねてきて、家政婦として住み込みで働くことになる….


アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したデンマーク映画の名作。

前半は、マーチネとフィリパの美人姉妹それぞれの、恋と呼ぶにはあまりにも儚い若かりし日のエピソードが描かれており、正直、どうってことのない地味なストーリーなのだが、美しい映像と仄かなユーモア感が漂う雰囲気とで決して見る者を飽きさせることはない。

結局、この姉妹は結婚もしないまま静かに年老いていくのだが、そんなある日、バベットが一万フランの宝くじに当選し、その金を使って姉妹の父親である牧師の生誕100周年を祝う晩餐会を開くところから本作の怒涛のクライマックスが始まる。

いや、クライマックスといっても、バベットがフランスから仕入れてきた食材を料理し、10名足らずの人々に本場のフランス料理を振舞うだけなのだが、見たこともない食材に恐れをなした地元の人々がそれから魔女の料理を連想してしまうというギャグや、食事が進むのに連れてバベットの秘められた過去(=かつてはパリの有名レストランの女性シェフだった。)が次第に明らかになっていくというミステリイなどが渾然一体となって、実に見事な盛り上がりを見せてくれる。

まあ、魚の干物と固いパンという禁欲的な食生活を送ってきた人々にとってみれば、この贅沢な晩餐会はある種の堕落なのかもしれないのだが、皆が敬愛していた牧師の生誕100周年の特別な日ということで、神様もきっと見過ごしてくれるだろう。

ということで、バベットが料理を“芸術”として捉えているところが興味深く、確かに人々を幸せにするという面からすれば音楽や絵画と共通するところは多い。でも、あの晩餐会で一番幸せだったのは、久々に自分の能力を披露することができたバベット自身なんだろうと思います。