ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢

2008年作品
監督 ジェイムズ・D.スターン他 出演 マイケル・ベネット、ドナ・マケクニー
(あらすじ)
16年ぶりに再演されることになった伝説的なミュージカル“コーラスライン”の出演者を選ぶために、応募者数3,000人、期間8ヶ月に及ぶ一大オーディションが開催される。いくつもの関門を潜り抜けてきたダンサーたちは、コニー、シーラ、ヴァルというように配役ごとに分けられて最終選考に臨むことになるが、そんな中、優れた演技力が必要とされるポールと主役クラスのキャシーの選考が難航する….


コーラスライン”の再演に当たり2006年に行われた公開オーディションの様子を記録したドキュメンタリー映画

おそらく、ブロードウェイでショーの出演者を選ぶためにオーディションが開かれるのは、そう珍しいことではないと思うのだが、そのショーが、オーディション自体をテーマにした名作ミュージカルの“コーラスライン”とあれば話は別。主催者側もそのあたりの事情は十分承知しており、ショーの宣伝を兼ねて大規模な公開オーディションの開催に踏み切ったのだろう。

コーラスライン”同様、最初は誰が誰だか分からないのだが、配役ごとの選考が行われるようになると、観客も審査員と同じような“上から目線”で、自分のイメージに合ったコニー、シーラ、ヴァル等を探し始める。俺には映画版のイメージしかないので、シーラ役に黒人の女性が選ばれたのはちょっと意外。

そして、最後に行われるキャシー役のオーディションは、実力者たちによるガチンコ勝負といった感じで見応え十分。最終選考に残った4人のダンサーたちの踊りを順々につなぎ合わせて見せるといった具合に比較の仕方も情け容赦なく、我々のような素人にも技術力の差が分かるよう配慮されているのだが、最終的には役柄のイメージが命運を分けたのだと思う。

また、オーディション風景の合間に、“コーラスライン”の生みの親であるマイケル・ベネットや、初代キャシー役のドナ・マケクニー、音楽を担当したマーヴィン・ハムリッシュ等に対するインタビュー等の映像が挿入されているのだが、俺のような初心者には初めて耳にするような話が多く、とても興味深い内容だった。

ということで、最後は、見事オーディションに選ばれたメンバーたちがステージ上で元気一杯に“ワン”を歌い踊るシーンが映し出されるのだが、当然のことながら劇中の演出とは異なり、実際のオーディションに落ちた人たちの姿はそこにはない。この厳しさが現在のブロードウェイのレベルを維持しているのだろうが、落ちた人のことを考えるとどうしても割り切れないものを感じてしまいます。