2006年作品
監督 アルフォンソ・キュアロン 出演 クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア
(あらすじ)
18年間、一人の子供も生まれなくなってしまった近未来。英国エネルギー省に勤めるセオ(クライヴ・オーウェン)は、別れた妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)からの依頼で、移民の黒人女性キーを違法出国させる手伝いをすることに。しかし、途中、ジュリアンは暴漢に射殺されてしまい、彼も手を引こうとするが、キーから秘密を打ち明けられ、思いとどまる。実は、彼女は妊娠しており、ジュリアンから“信じられるのはセオだけ”と聞かされていたというのだ….
子供が生まれなくなったら、皆でのんびりと黄昏の日々を過ごせばよいと思うんだけど、どうもそういう訳にはいかないらしくて、作中で描かれる人々の心は何故か見事なまでに荒廃しており、移民の皆様に対する処遇はまるでアウシュヴィッツみたい。
ラスト近くのテロリストと軍隊との戦闘シーンでは、カメラが主人公の移動する後を延々と追って行き、まるでドキュメントみたいに“戦場”のすべてを写し出す。途中、カメラのレンズに血糊が飛び散ってしまうんだけど、そんなの全くお構いなしにカメラは回り続ける….
ということで、終末観に溢れた映像と暴力描写は素晴らしいとは思うものの、チキンな俺には向いてないね。マイケル・ケイン扮するセオの友人が殺されるところなんかは、正直、怖くて正視できなかった。
ストーリー的にも、何故子供が生まれなくなったのか最後までわからないままだし、英国に移民が押し寄せる理由やテロリストの目的もほとんど説明なし。だいたいエヴァンゲリオンじゃあるまいし、“ヒューマン・プロジェクト”って一体何なんだ?
結局、この監督さん、単にリアルな戦闘シーンを撮りたかっただけなんじゃないのって思ってしまいました。少なくともSFではありません。