パッチギ!

2004年作品
監督 井筒和幸 出演 塩谷瞬沢尻エリカ
(あらすじ)
60年代末の京都。府立高に通う康介(塩谷瞬)は朝鮮高校の生徒たちのケンカに巻き込まれてしまい大騒動に。その仲直りのため、担任の言いつけでサッカーの親善試合の申し込みに行くが、そこで「イムジン河」を演奏していた美しい女子高生のキョンジャ(沢尻エリカ)と出会い、心を惹かれる。しかし、なんと彼女は朝鮮高校の番長アンソンの妹だった….


最近、続編が公開されることもあって、再びちょっと話題になっている作品。俺は、TV等における井筒監督の意外に計算高そうなキャラクターがあまり好きでないこともあって、これまで彼の作品は敬遠気味だったんだけど、まあ、試しにということで見てみた。

一応、日本人と在日の問題が主要テーマになっているんだけど、主人公の康介がそれに関してほとんど無知というか、いたって無邪気なのが面白い。このこと自体、決して褒められたもんではないんだろうが、最近の“嫌韓”と言われる方々とは違い、変な先入観なしに物事を見られる分、在日の皆さんにも受け入れられ易かったのだろう。

しかし、彼のその無邪気さは、主人公の友人になった在日高校生の通夜の場では拒絶されてしまう。まあ、人間、余裕のないときにはどうしても心が狭くなってしまうもんだが、その状況を救うのがあの名曲「イムジン河」!という訳で、キョンジャが通夜の席にラジオを持ってくるシーンでは、まんまと目頭を熱くさせられてしまいました。

そのキョンジャを演じるのは沢尻エリカ。TVなんかで見ていると結構醒めている風であるが、ここでは可憐な在日女子高生役を熱演している。作中、彼女が康介君に“私と付き合うんなら、朝鮮人になれるか”と尋ねるシーンがあり、見ていてその真意が解らずにちょっと戸惑ったんだけど、考えてみれば在日の皆さんは、常に“日本人になれるか”という無言のプレッシャーの中で暮らしているのかも知れないなあ。

ということで、在日朝鮮人の若者を描いた作品としては「GO(2001年)」が有名、というか俺はそれしか見たことがないんだけど、本作のほうは歌あり、涙あり、乱闘シーンありといった具合にサービス満点。そんなことで、作品自体の出来は別として、もう一度見るとしたら俺は多分こっちを選ぶ。ほーらね、井筒監督はやっぱり計算高い