クォ・ヴァディス

1951年作品
監督 マーヴィン・ルロイ 出演 ロバート・テイラー、デボラ・カー
(あらすじ)
ローマ軍の武将マーカス(ロバート・テイラー)は、ふとしたことで知り合った老将軍の養女リギア(デボラ・カー)に一目惚れ。彼女が人質の身分であることを知ったマーカスは、皇帝ネロに戦功の褒美として彼女をもらい受けることを申し入れ、許される。しかし、リギアがキリスト教の信者であることを知ったマーカスは、彼女の信仰を認めることができなかった….


有名なローマ史劇の映画化。美しいカラー作品でエキストラの数も尋常ではないため、「ベン・ハー(1959年)」の二匹目のドジョウを狙った作品かと思いきや、なんとこちらのほうが8年も先に公開されていた。

マーカスとリギアの恋物語を基本に、当時まだ公認されていなかったキリスト教を絡めてストーリーが進んでいく訳だが、意外にロバート・テイラーの見せ場が少なくて、むしろ、暴君ネロとペトロニウスのやり取りの方がずーっと面白い。当然ながらネロは見事なまでの人格破綻者として描かれているのだが、彼に扮するピーター・ユスティノフの魅力もあってか、どことなく愛嬌があり憎めない。

一方、ペトロニウスに扮したレオ・ゲンという俳優は、おそらく初見だと思うが、こちらもなかなかの名演で、芸術家気取りのネロに対するヨイショの仕方は社会人として大いに参考になる(?)。また、最後に愛想を尽かしたネロに送った「得意なこと(=圧政)に専念し、これ以上芸術を汚すことは止めるように」という遺書も皮肉たっぷりでとても良い。

お目当てのデボラ・カーはやはりとても美しかったのだが、表情に乏しく、硬質的すぎてちょっと苦手。結局、俺が好きなのは「地上より永遠に(1953年)」以降の彼女なのだということを再認識した次第です。

なお、後で調べたら、ソフィア・ローレンがリギアの奴隷役で、エリザベス・テイラーが囚われたキリスト教徒役でそれぞれカメオ出演しているとのこと。恥ずかしながら全然気が付かなかったので、次は注意して見てみよう。