1979年作品
監督 ポール・グリモー 脚本 ジャック・プレヴェール
(あらすじ)
巨大な塔のような城の王シャルル5+3+8=16世は冷酷かつ横暴な性格であり、塔の最底辺に住み、太陽をみたこともないという民衆から孤立していた。そんな王の居室には何枚かの絵画が飾られていたが、そこに描かれた美しい羊飼いの娘と煙突掃除人とはいつしか愛し合うようになり、それに嫉妬した、やはり肖像画の中の王から逃れるため、二人は絵から抜け出し、城の天辺に住んでいる鳥の助けを得て、脱走を図る….
ゲド戦記にガッカリした妻と娘を連れ、わざわざ渋谷の映画館まで観に行った。
スタジオ・ジブリの高畑、宮崎両氏が大きな影響を受けたアニメ作品と言うことであるが、パンフレット等によると、彼等が観たのはこの作品の原型になっている「やぶにらみの暴君(1952年)」のほうらしい。
確かに、設定が似ているカリオストロの城だけでなく、ナウシカの巨神兵やラピュタの特務機関を彷彿させるようなキャラは出て来るし、ストーリー的にも、おそらく同時期のディズニーアニメにはなかったであろう「社会性」みたいなものを感じさせる点は興味深い。マルクス主義の影響も強く見受けられた。
しかし、今、そういったものをすべて経験した後でこの作品を観た場合の印象は、正直、古い! 何といっても、王様以外のキャラクターに絵的な魅力の乏しいことが致命的で、“俺たちが若い頃観て感動したんだから、お前らも素直に感動しろ”といわれても、それは無理っていうもん。上映中、何度か瞼が重くなった。