ブレイブストーリー

昨日、娘と一緒にブレイブストーリーを観に行った。

珍しく、先に宮部みゆきの原作を読んでいたので、これがどう料理されているか、少し期待して観たのだが、残念ながら、やはり原作には及ばない。
最大の不満は、キャラクターに動画的な魅力がないこと。映画と小説を比べたとき、これが前者の最大の利点のはずなのに、まったく生かされていない。金をかけるつもりがないのは分かっているから、ロード・オブ・ザ・リングとかピクサーとかのレベルは求めないけど、キ・キーマやミーナの造形がポケモンの雑魚キャラレベルというのはあんまりだ。俺が愛するカッツにしたって、色気も何もあったもんじゃない。
絵がダメなら、ストーリーはというと、女子むけに(?)原作のうちミツルに絡むエピソードを多めに残しているので、ミツルに対する感情移入はできたけど、その分、幻界に対する思い入れのほうはまったく不十分。(ラストの方で、ワタルが運命の女神に望みを告げるとき、「ミツルを生き返らしてください」って言い出すんじゃないか観ていてヒヤヒヤしたぞ。)やはり、あれだけの長編をできるだけ無傷なまま2時間にまとめようとするのは無理ってもんで、もっと大胆に脚本を見直す必要があったと思うよ。

まぁ、これと同じような批判はハリポタとか最近では「ダ・ヴィンチ・コード(2006年)」でもあったわけだが、そのとき、俺はどちらかというと映画関係者に同情的だった。だって、これらは「世界的大ベストセラー」であり、おとなしく映画化すればそれなりの興行成績が期待できるのに、それをあえて脚本をいじり、それでコケたときのリスクを負うというのはセルズニックとかザナックといったクラスの大物(ともに故人)でなきゃ到底無理ってもん。(特に、ハリポタのような未完結のシリーズものに対して、「原作から離れて映画化すべき」なんて主張する人は、何考えてんだろう。)
で、これに対して小説「ブレイブストーリー」はというと、俺は最近ほとんど本を読まないのでよく分からないが、少なくとも題名だけで人が呼べるほど有名でなく、はっきりいって現代のファンタジー文学を代表する傑作でもないと思う。要するに、原作から離れて映画化することは十分可能であったし、それが難しければ映画化を断念することだってできたはず。やっぱり、出来ることはやらなくちゃいけないよ。(by Bob Dylan

なお、映画のラストシーンではちょっとウルウルしてしまったことを最後に白状しておく。