ハリー・ポッターと呪いの子

ハリー・ポッターと死の秘宝」の19年後を描いた舞台劇脚本の書籍化。

昨年11月に発売されたものであり、既に読み終えてしまった妻&娘はその感想を話し合いたくてムズムズ。俺は映画を見るまで原作を読まない主義なのだが、本作の映画化の具体的なスケジュールは公表されていないようであり、あまり長い間この本の話題を俺の前ですることを禁止するのも気の毒なので、今回、特別に読んでみることにした。

さて、本作の主役になるのはハリー・ポッターの次男であるアルバス・セブルス・ポッターとドラコ・マルフォイの一人息子であるスコーピウス・マルフォイの二人。“父親と不肖の息子”という西洋文学にお馴染みのテーマが前面に出る序盤は、正直、あまりパッとしないのだが、逆転時計を使ってのタイム・パラドックスに話が移ると、うん、これがなかなか良く出来ている。

まあ、あくまでもお子様向けのファンタジーなのでSF小説のような緻密さには欠けるものの、主人公の二人に加え、立派な(?)大人へと成長したハリー、ハーマイオニー、ロン、ドラコ等、さらには今は亡きスネイプ先生やヴォルデモートといった大物までもが入り乱れて描かれるタイム・パラドックスものは、大人が読んでも十分に面白い。

特に、ホグワーツ在学中には叶わなかったハリーとドラコの和解が実現するのは長年のファンにとってとても喜ばしい出来事であり、これでスリザリンの名誉回復もOK。いずれは脇役的な色彩の強いレイブンクローとハッフルパフにも活躍の機会を与えて欲しい。

ということで、さっそく妻&娘と本書の感想を述べ合ったところ、ハリーの長男であるジェームズ・ポッターの影の薄さがあまりにも不憫であることで意見が一致。また、映画化よりも先に、舞台版の作品を(日本語字幕付きで)見てみたいので、是非とも来日公演を実現させて欲しいものです。