ウォッチメン

お待ちかねの「ウォッチメン」の公開初日ということで、早速、映画館に行ってきた。ただし、本作は「R-15指定」の故、娘は妻と一緒に「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」を鑑賞。

ストーリーは、先日読んだばかりのアメコミの原作にほぼ忠実であるが、当然、「黒の船」や初代ナイトオウルの自伝といったメイン・ストーリーと直接関係のない部分は完全削除。また、説明にちょっと時間を要するような原作の設定を一部変更している箇所もあったが、それでも上映時間は163分と見応え十分。

この手の作品で「R-15指定」というのは興行的にも相当のマイナスだと思うが、それを覚悟の上での容赦のない暴力描写をはじめ、原作の映像化においては一切の手抜きを感じさせないレベルであり、あの全く動きの感じられなかった紙の上のスーパー・ヒーロー達が生きいきと魅力的に動き回る様を眺めているだけで、もう十分に満足出来てしまう。

凝りに凝った原作の設定のいくつかを犠牲にしつつも、ナイトオウルとシルクスペクターの二代目コンビによるアクションシーンなんかにはそれなりの時間をかけて丁寧に描いており、飛行船アーチーの雄姿を含め、このザック・スナイダーという監督さん、なかなかツボを心得ていらっしゃるなあ、と感心してしまった。

まあ、そうはいっても原作があのボリュームなので、いくら要領よく映画化したとは言っても本作の内容の濃密さは半端じゃない。幸い、俺は原作を読んでいたので問題はなかったが、全く予備知識なしに見ていたら、あの、これから始まる物語の舞台が“もう一つのアメリカ”であることを表現した秀逸なオープニング・クレジット(=この部分だけで「20世紀少年」一本分くらいのお金をかけているんじゃないかなあ。)でさえ、きちんと理解できたかどうか少々心許ない。

ということで、そのオープニングで流れる「The Times They Are A'Changin'」の他、ロールシャッハとナイトオウルがオジマンディアスの南極基地へ乗り込むシーンでは「All Along the Watchtower」、そしてエンド・クレジットでは「Desolation Row」というように、Bob Dylanの名曲が主要なところで使われており、昔のロックファンとしてはとても嬉しかったです。