チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷

塩野七生の箸やすめシリーズ第2弾。

一般的には悪名高き“毒殺魔”であるが、作者は遠い昔に死別した初恋の人の思い出を語るような感じで淡々と描写しており、何かとってもカッコいい。彼の所業をみていると、女性の方々に対しても結構非道なことをしているように思えるんだけど、塩野さん的には“全然問題なし”らしい。

俺の大好きな「第三の男(1949年)」でも、ヒロインは“悪者”のハリー・ライム一筋で、彼女に優しいホリー・マーチンスは全く眼中に無かった。おそらく、男の安易な優しさは、彼女等の眼には無能さとか優柔不断さの裏返しとしてしか写らないんだろうなあ。うーん、何故かちょっと残念(?)。