無頼の谷

1952年作品
監督 フリッツ・ラング 出演 マレーネ・ディートリッヒアーサー・ケネディ
(あらすじ)
1860年代の西部。許嫁を殺害された牧童のヴァーン(アーサー・ケネディ)は、その犯人を捜すため一人旅に出る。途中、仲間割れから瀕死の重傷を負った犯人の片割れを発見するが、彼は「チャカラック」という言葉を残して息絶えてしまう。その後、ひょんなことからその言葉がオルター・キーン(マレーネ・ディートリッヒ)という酒場歌手となんらかの関係があることをつきとめたヴァーンは、彼女の情夫フレンチーに近づく….


あの「暗黒街の弾痕(1937年)」の監督がどんな西部劇を撮るのかっていう興味だけで見てみた作品。カントリー調の主題歌に引き続き、いきなり濃厚なキス・シーンから始まったときはちょっと心配になったが、まあ、まずはまともな西部劇だった。

「チャカラック」っていうのはオルターの経営する牧場の名前なんだけど、どういう意味なのか後で調べてみたらカジノで行われるゲームの一種とのこと。オルターがメル・ファーラー扮するフレンチーと最初に出会ったときにやっていたのがこのゲームらしく、彼女はそれにちなんで自分の牧場の名前にしたっていう事らしい。

で、このオルターに扮するのが、当時50歳を過ぎたばかりのマレーネ・ディートリッヒ。さすがに容色の衰えは隠せず、どうみても骨張ったオバさんにしか見えない。しかも、フレンチーという恋人がありながら、秘密を聞き出すために近づいてきたヴァーンの色仕掛けにコロッと引っかかってしまうという役どころは、やっぱりちょっと寂しいなあ。

アーサー・ケネディも頑張っていたけど、どうみたって彼に色男のマネをさせるのには無理があり、オルターに対しても搦め手ではなく、もっと正攻法でいくべきだったと思う。逆に、西部劇には似合わないと思っていたメル・ファーラーのほうは、意外や意外、ちょっとクールでおセンチなガンマン役がなかなかカッコ良かった。