大平原

1939年作品
監督 セシル・B・デミル 出演 バーバラ・スタンウィック、ジョエル・マクリー
(あらすじ)
リンカーン大統領の決断により大陸横断鉄道の建設が決定し、セントラルパシフィックとユニオンパシフィック両社による鉄道敷設競争が始まった。敵の様々な妨害工作により、ユニオン側の工事は遅れがちになるが、新たに工事監督を任せられたジェフ(ジョエル・マクリー)は、持ち前の機転の良さと早撃ちの腕前で困難を切り抜けていく。機関手の娘モリーバーバラ・スタンウィック)はそんな彼に次第に惹かれていくが....


画面の手前から奥の方へスタッフやキャストの名前が流れていくという、「スター・ウォーズ」がパクったことでも有名なオープニングで始まるセシル・B・デミルの大作西部劇。

スタンウィック扮するモリーを頂点とするジェフとその旧友ディックの三角関係がベースになるのだが、それに加えてインディアンの襲撃や雪山での脱線事故といった一大スペクタクルまで見せてしまうという、まさにデミルならではのサービス満点な作品です。確かに見せ場は多いし、良いエピソードもあるので最後まで観ていて飽きさせないのは流石だが、反面、各エピソードが並列的でストーリーに深みが出てこないのがやや物足りないところ。

大陸横断鉄道の建設というビッグイベントには数々の困難があった筈であり、そっちにウェイトを置いた脚本にすれば自ずから感動的な作品になったと思うのだが、きっとそういうのは巨匠の好みではなかったのだろう。

主演のバーバラ・スタンウィックはいつもながら魅力的であり、特に、愛するジェフの危機を救うため、彼の目の前でディックからのプロポーズを受け入れるシーンはちょっと感動的。こういった役にしろ、いつもの悪女役にしろ、彼女が演じる女性はいつも“健気”であり、そんなところが人気の秘密なのでしょう。(この魅力はジーン・アーサーにも通じるものであり、それがデミルやキャプラが彼女たちを主演に使った理由かもしれない。)

それと、ジェフの部下になる二人組は、“見栄えはしないけれど仕事はキチッとやる”という役どころ。出番が少なかったのは残念であるが、いかにも真面目そうなジョエル・マクリーとは好対照で中々良い味を出している。