ママの想い出

1948年作品
監督 ジョージ・スティーヴンス 出演 アイリーン・ダンバーバラ・ベル・ゲデス
(あらすじ)
1910年代のサンフランシスコ。マーサ・ハンソン(アイリーン・ダン)は、まじめな夫と小説家になることを夢見る長女のカトリン(バーバラ・ベル・ゲデス)等4人の子供達に囲まれ、幸せな生活を送っていた。しかし、ノルウェーからの移民であるハンソン家の生活は苦しく、家族全員の協力でなんとか家計を遣り繰りし、「銀行預金に手を付けずに済んだ」というのがマーサの口癖だった….


名匠ジョージ・スティーヴンスのホームドラマ
ハンソン一家とその親戚筋の人々に起きるエピソードを淡々と綴っていくだけで、そう大した事件が起きる訳でもないんだが、しみじみとした雰囲気に包まれた佳品。「シェーン(1953年)」にしても「ジャイアンツ(1956年)」にしても、こういうしっかりとしたホームドラマがベースにあるから、観る人の心を打つ名作になるんだろうね。

題名からも判るように、“パパ”の存在価値が非常に低いのが男としてちょっと気になるが、それを補ってクリス伯父さんの奔放な生き方とユニークは口ヒゲがとても愉快。ああいった最期も結構イイものかもしれない。また、「ママの銀行預金」に関するオチもなかなか感動的でした。

正直、主演のアイリーン・ダンのごっつい馬ズラは大の苦手で、それが気になって「新婚道中記(1936年)」や「邂逅(1939年)」ではいまいち話に乗れなかった俺だが、今回は中年のオバさん役なのであまり気にならずに観られた。それと、バーバラ・ベル・ゲデスの初々しい娘役時代が見られたのは、大きな収穫。

しかし、どこの国でも貧乏な時代っていうのがあったんだよね。ただ、日本と違って、あっちの貧乏生活があんまり悲惨に見えないのは、俺に“椅子とテーブルの生活は上流階級”という刷り込みがあるせいなのかなぁ。