化学の歴史

題名どおり、アイザック・アシモフが古代から現代に至る化学の歴史を綴った作品。

ハヤカワから出ている彼の科学エッセイで読んだことのあるようなエピソードも多く、全体を通してあまり新鮮味は感じられなかったのだが、まあ、さすがアシモフということで、俺のような化学オンチが読んでも何となく分かったような気にさせてくれるというテクニックは天下一品。

特に、古代ギリシャで生まれた“元素”という概念が、幾多の紆余曲折を経てメンデレーエフ周期表で(一応の)大団円を迎えるというお話は、良質なミステリイの要素が含まれていて何度読んでも面白い。高校の化学の教科書に本書が採用されていれば、俺の苦手意識もきっと克服出来ていたに違いない。

ということで、学校で教わった化学には“丸暗記しなければならない項目がやたら多い科目”という印象が強く、最後まで興味を持つことが出来なかったのだが、その大きな原因は(おそらく)説明の際に結論を急ぎ過ぎているせいであり、本書における有機物と無機物の区分のように歴史的な経緯から順を追って説明していただければ、もう少し系統立てて理解することが出来たように思います。