セレニティー

2005年作品
監督 ジョス・ウェドン 出演 ネイサン・フィリオン、サマー・グロー
(あらすじ)
2510年の未来世界。銀河中に広がった人類社会は“同盟”によって統一され、表面上は平和を装っていたが、不思議な能力を持つ少女リヴァー(サマー・グロー)は、そんな同盟に捕らえられ、最終兵器になるための手術を受けさせられてしまう。その後、兄サイモンの活躍によって同盟を逃げ出した彼女は、独立派の退役軍人であるマル(ネイサン・フィリオン)を船長とする宇宙船セレニティー号に助けられるが….


来年公開予定の「ジ・アベンジャーズ」の監督を務めるジョス・ウェドンが手掛けたSF映画

まったく予備知識なしでの観賞であり、有名俳優が一人も出てこないこともあって、しばらくの間、最初に出てきた超能力少女のリヴァーが主役なんだろうと思って見ていたのだが、途中から、「スター・ウォーズ(1977年)」に出てきたハン・ソロ劣化コピーのようなマル船長が本当の主役だということにようやく気付く。

見終わってからDVDの特典映像等で確認したところ、本作は2002年にアメリカで放送された「Firefly」というTVシリーズの映画版であり、そちらの方では、マル船長以下、辺境惑星を行き来する宇宙の便利屋であるセレニティー号の乗組員の活躍が描かれているとのこと。

残念ながら、TVシリーズは途中で放送打切りになってしまったものの、熱狂的なファンも少なくなかったらしく、映画版の配役もTVと同じということで、彼等なら一目見ただけで登場人物の人間関係等が理解できるのだろうが、一見さんの日本人には到底無理な話。会話の途中に突然中国語が出てくるのも、特典映像の説明を聞くまで全く意味が分からなかった。

まあ、そういった作品の背景を理解した上で本作のストーリーを振り返ってみても、正直、SF映画としてこれといった目新しいアイデアがある訳ではないのだが、いくつかのアクション・シーンには見るべきところもあり、特に、リヴァー役のサマー・グローの非人間的な身のこなしはちょっと凄いと思った。

ということで、作品自体に対する満足度はあまり高くないのだが、途中で打切りになったTVシリーズの映画化を見事実現させたことからして、ジョス・ウェドンが“執念の人”であることは間違いなさそう。その情熱を「ジ・アベンジャーズ」に注ぎ込んでもらえれば、きっと面白い作品が出来上がるものと期待しています。