モダン・ミリー

1966年作品
監督 ジョージ・ロイ・ヒル 出演 ジュリー・アンドリュースメアリー・タイラー・ムーア
(あらすじ)
1922年のニューヨーク。田舎から都会へやって来たミリー(ジュリー・アンドリュース)の夢は、ハンサムでお金持ちのボスの秘書となり、いずれは玉の輿に乗ること。流行の髪型とファッションでモダン・ガールに変身した彼女は、同じ独身女性専用のホテルに宿泊するドロシー(メアリー・タイラー・ムーア)という大金持ちの孤児(?)と友人になるが、そのホテルにはあるおそろしい秘密が....


ジュリー・アンドリュースが「サウンド・オブ・ミュージック(1964年)」の2年後に出演したミュージカル映画

ジョージ・ロイ・ヒルらしい明るくレトロ調の映像は最初からとても楽しそうな雰囲気を醸し出しており、出会ったばかりのミリーとドロシーがホテルのエレベーターの中で一緒にタップを踏むシーンは、その後の展開への期待をいやがうえにも大きく膨らませてくれる。

ところが、ストーリーが進むに連れ、次第にミュージカルらしさは影を潜め、代わりにスラップスティック・コメディの要素が強くなってくる。しかも、途中から登場する大金持ちの未亡人マギー(キャロル・チャニング)が歌に曲芸にと大活躍する展開に至っては、ジュリー・アンドリュース出演のミュージカル映画という基本設定は何処へやら、っていう感じ。

まあ、この作品が公開されたのは、ミュージカル映画が冬の時代を迎えようとしていた時期であり、もはや単純なボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーをベースに歌ったり、踊ったりするだけでは観客の納得を得られなくなっていたのだろうが、はっきり言って、これではジュリー・アンドリュースを主役に起用した意味はなく、普通のコメディエンヌを使ったほうがよっぽど良い。

そんなジュリー・アンドリュースは、公開当事31歳。確かに、これから初めて社会に出ようとするミリー役を演じるにしてはちょっとトウが立ち過ぎているし、彼女の“健全さ”にはさすがのジョージ・ロイ・ヒルも手を焼いたのかもしれないのだが、それにしてもあと2、3曲、彼女の歌を聴いてみたかった。

ということで、スリムなシルエットが重視されていたらしい1920年代、ミリーが自分の豊満な胸を持て余すというギャグが出てくるのだが、ジュリー・アンドリュースがそんなグラマーな肢体の持ち主だったというのはちょっと意外。まあ、だからといって、決してセクシーには見えないのですが。