ルネサンスとは何であったのか

先日読んだ「ヨーロッパのキリスト教美術」がほとんどルネサンス無視だったので、ちょっと欲求不満を感じていたところ、書店でたまたまこの本が目に入ったので読んでみた。

ルネサンスを、時代に応じ、フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアと舞台を変えながら説明した作品であり、それぞれを代表する人物として挙げられているダ・ヴィンチミケランジェロティツィアーノをはじめとする様々な人物の描写をとおしてルネサンスの本質に迫る。

まあ、作者が塩野七生氏ということで、例によって思い入れたっぷりの記述に溢れており、巻末の三浦雅士氏との対談で、彼が“いままでモノクロームだったヨーロッパ史が、カラーに染められていった”と言っているのも良〜く判るんだけど、本書で採用されている対話方式というのが、いつにも増して塩野氏の自己陶酔的な雰囲気を強めているようで、ちょっと引いてしまうようなところがないでもない。

内容的には、ルネサンスの先駆者として聖フランチェスコを取り上げていたのが興味深い。塩野氏にはキリスト教嫌いという印象があるんだけれど、それに対する検討抜きでこの時期の西欧文化を理解するのは困難であり、聖フランチェスコの存在や、ルターの宗教改革がありながら、何故、カトリックが現在に至るまで隆盛を誇っているのか、もうちょっとお勉強してみることにしましょう。