ダンディー少佐

1964年作品
監督 サム・ペキンパー 出演 チャールトン・ヘストンリチャード・ハリス
(あらすじ)
南北戦争末期。味方の部隊が狂暴なアパッチの酋長チャリバの奇襲を受けて全滅してしまい、ダンディー少佐(チャールトン・ヘストン)はチャリバ討伐を決意する。しかし、砦の警備を手薄にする訳にはいかないため、南軍の捕虜の中からも志願兵を募ることになり、旧知の間柄であるタイリーン大尉(リチャード・ハリス)に協力を依頼する….


リチャード・ウィドマークに引き続き、今度はチャールトン・ヘストンの追悼記念をすることになってしまった。

ダンディーとタイリーンは士官学校の同期生だったが、ある事件が原因で二人は仲違いをし、北軍を追われたタイリーンは南軍に参加することになったらしい。そして、そんな因縁浅からぬ二人を含む、北軍、南軍、黒人、インディアン等の混成チームが、フランス軍が支配するメキシコに逃げ込んだアパッチを追撃するっていうお話し。

まあ、インディアン討伐っていうのは西部劇に割とよくあるパターンだけど、本作で特徴的なのは余所ではちょっと見られない独特の“ダラダラ感”。混成チームの故か、フォード作品に出てくるような騎兵隊とは対照的に命令系統はバラバラだし、規律とか士気とかも相当低くそう。その上、結構道草が多いこともあって、ストーリー展開のほうも決してテンポが良いとはいえない。

しかし、そんなダレ気味の雰囲気の中で時折発生するイベントは、これがなかなか緊張感に溢れており、この落差がちょっと堪らない。そのせいか、本作にはロードムービーのハシリみたいなある種の趣があり、おそらくこの“ダラダラ感”がもうちょっと整理されて完成したのが後の傑作「ワイルドバンチ(1969年)」なんだろうと思う。

主演のチャールトン・ヘストン演じるダンディー少佐は、降格人事によって砦の守備隊長を命ぜられたという設定なんだけど、強い信念を持ちながらもどこか不器用(=純情?)なところがあるというちょっと複雑なキャラであり、ストレートな二枚目役のリチャード・ハリスとは好対照な役どころ。

また、ジェームズ・コバーンウォーレン・オーツなどを配した脇役陣も充実しており、唯一人コメディ・リリーフを務めるグレアム中尉役のジム・ハットン(=ティモシー・ハットンの実の父親とのこと。)もなかなか良い味を出している。

ということで、史劇やパニック映画への出演が多かったチャールトン・ヘストンとしては珍しく、なかなか味わい深い作品になっており、名作とは言えないまでもそれなりに楽しめた。晩年、タカ派的性向が強くなり過ぎたせいか、「ボウリング・フォー・コロンバイン (2002年)」でミソをつけてしまったのはちょっと残念だったけど、彼が魅力的な俳優さんだったってことは間違いありません。ご冥福をお祈りします。