リメンバー・ミー

今日は、妻&娘と一緒にピクサーの最新作である「リメンバー・ミー」を見てきた。

音楽が重要なテーマになっている作品らしいのだが、例によって近くのシネコンで上映されているのは日本語吹替え版ばかりであり、アカデミー賞の歌曲賞に輝いた劇中歌「リメンバー・ミー」も日本人が日本語で歌っているものを聴かされるらしい。正直、それだけで期待値は半減だが、まあ、ここは諦めるしかないなあと嘆きながら映画館へ。

さて、ストーリーは、ひょんなことから“死者の国”に迷い込んでしまったメキシコ人の少年ミゲルの冒険を描いたものであり、ミュージシャンになることを夢みる彼と伝説的な名ギタリストのエルネスト・デラクルスとの出合いを通して、ミゲルの一族に伝わる“音楽禁止の掟”にまつわる謎が明らかにされる。

出てくるのはメキシコ人ばかりであり、キリスト教とはかなり異なるユニークな死後の世界観のせいもあって、おそらく米国民の皆さんにとってはそれなりに衝撃的な題材なんだろうが、お盆の風習を有する我々にとってみればそれほど奇異な内容とは思えず、娘の言葉を借りれば“ラセター、置きにいったな”っていう印象の方が強い。

意外な事実から過去の殺人事件が明らかになる等、例によって脚本は良く練られているが、一番のテーマになっているのは家族愛であり、まあ、それが大事なことは分かるが、ちょっと当たり前すぎて面白くない。世界中には、いろんな理由で家族を持つことが出来なかった人も沢山いるのだから、むしろそういった人たちのことを考えて欲しかった。

しかし、死者の国の映像はきれいだし、危惧していたほど日本語の吹替えもヒドくなかったので、まあ、十分に合格点は差し上げられる。ただし、イメルダが大観衆の前で「哀しきジョローナ」を歌うシーンは、やはり原語で聴いた方がずっとスリリングだったと思うし、メキシコなのに“入管”がとても厳しいのは誰かに対する皮肉なのかなあ。

ということで、ピクサー作品としては珍しく、併映されていたのはディズニーの「アナと雪の女王/家族の思い出」だったのだが、ストーリー、楽曲ともにとても良く出来ており、これがオマケ扱いではちょっともったいないくらい。クリスマスの時期に見られたらもっと感動的だったと思うが、まあ、また愚痴になってしまうので止めておきましょう。