トム・アット・ザ・ファーム

2013年作品
監督 グザヴィエ・ドラン 出演 グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナ
(あらすじ)
モントリオールに住んでいるトム(グザヴィエ・ドラン)は、不慮の死を遂げた“友人”ギョームの葬儀に参列するため、彼の実家である田舎の農場を訪れる。そこではギョームの母アガットと兄のフランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)が暮らしていたが、トムと弟との“関係”を察したフランシスは、何も知らない母親を傷付けたくないという思いから、トムに普通の友人を装うことを強制する…


娘が興味を持ったグザヴィエ・ドランという若手監督の作品を彼女と一緒に鑑賞。

要するにトムとギョームは“恋人”同士だったようであり、弟の性的指向を知っていたフランシスはブロンドの美青年であるトムを一目見てピンときた、ということなんだろう。まあ、そこまでは良いのだが、本作に対する予備知識が全く無かったものだから、この先どういった方向に話が転がっていくのか見ていて全く予想がつかない。

恋人を失ったショックから立ち直れないでいるトムは、少々粗暴ではあるものの、男らしいフランシスに興味を抱いたらしく、葬儀の後も農場で一緒に暮らすようになるのだが、このフランシスという男、どうやら過去のトラウマに苦しめられているようであり、トムに対してもなかなか心を開こうとしない。

終盤になっても事態の改善は見られないため、このまま男同士による“ほろ苦い恋愛劇”のままで終わるのかなあ、と思って見ていると、トムがたまたま立ち寄ったバーのマスターの話からフランシスが9年前に起こした“事件”の内容が明らかになり、ここからストーリーはホラー・モードへと一転!

結局、トムが命からがら農場を脱出してジ・エンド。見終わってからの娘の第一声は“サイコパスだったんだ!”というものであったが、忌まわしい過去を引きずりながらも母親を置いて保守的な田舎町を抜け出せないでいたフランシスにも同情すべき点は少なからず存在する訳であり、まあ、きっととても寂しかったんだよね。

ということで、この文章を書くためにallcinemaを調べてみたところ、あの金髪の美青年トムを演じていたのが監督のグザヴィエ・ドラン自身であったことを知って吃驚仰天。現在、宇都宮市以外で公開中である彼の最新作「たかが世界の終わり(2016年)」には有名スターも大挙出演しているようであり、彼の今後の動向から目が離せません。