ラ・ラ・ランド

今日は、妻&娘と一緒に今話題のミュージカル作品「ラ・ラ・ランド」を見てきた。

昨年9月のトロント国際映画祭で観客賞を獲得したというニュースを耳にして以来、我が国での公開を首を長くして待っていた作品。アメリカ本国に比べると2月以上遅れての公開ではあるが、まあ、史上最多タイとなる14ノミネートを果たしたアカデミー賞の授賞式(=日本時間で2月27日)よりは僅かに早かったということで、はやる気持ちを抑えながら映画館へ向かう。

さて、クライマックスで披露されるのだろうとばかり思っていたあのハイウェイでのダンスシーンが、いきなり冒頭で使われていたのでビックリしてしまったのだが、それから始まる2時間余の上映時間は久々に味わうことの出来た至福のひとときであり、夢のように美しい映像と素敵な音楽の組合せに瞬時で魅了されてしまう。

正直、ストーリー自体は(良くも悪くも)ミュージカルの伝統であるボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーであり、“夢を諦めない”というテーマ自体にも新鮮味は感じられないのだが、脚本&監督を手掛けたデイミアン・チャゼルストーリーテリング能力の高さは驚異的であり、最初からから最後まで一瞬たりとも観客のハートを離さない。

作中にも名前が出てくる「カサブランカ(1942年)」をモチーフにしたようなちょっぴりほろ苦いエンディングは、そんな夢のような世界に漂っていた観客の心を優しく現実に引き戻すための監督の配慮であり、これをまだ30台になって間もない若手監督がやってくれるのだから、もう末恐ろしいったらありゃしない。

また、どうやって撮ったのか分からないほど流麗なカメラワークや、アイデア満載のダンスシーンなど、フレッド・アステアが見たら涙を流して悔しがるような映像が盛り沢山。やっぱりダンスの神髄はこの“クールさ”であり、汗まみれになって半裸で踊り狂うようなダンスは下品としか言いようがないよね。

ということで、帰りの車内で始まった我が家のアカデミー賞予想では、監督賞は当確だが、社会性に欠けるので作品賞は無理、エマちゃんには是非主演女優賞を獲ってもらいたい、という結果だったが、翌日の答え合わせではこれが見事に大当たり。個人的には脚本賞も差し上げたかったところだが、やはり社会性の低さが響いたのでしょう。