ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

今日は、妻&娘と一緒にティム・バートンの新作である「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を見てきた。

ドクター・ストレンジ」が本作に替わっただけで、「マグニフィセント・セブン」、「沈黙 –サイレンス–」との間の三択関係は先週末と同様だったのだが、結局、娘のアルバイトが終わってから見に行くのに一番都合が良いという点が決め手になってこの作品に決定。吹替え版なのが少々残念だが、まあ、変な芸能人は関与していないようなので仕方ないところだろう。

さて、ストーリーは、何故か周囲になじめない孤独な少年のジェイクが、不思議な力を持つミス・ペレグリンとの出合いを通して自分も“奇妙なこどもたち”の一人であることを知り、悪者に捕らわれてしまった彼女に代わって子どもたちを悪の手から守ろうとするというもの。まあ、早い話がX-Menのファンタジー版っていう感じかな。

最も異なるのは、敵になるのが普通の人間ではなく、同じく奇妙な特殊能力を持つ者たちだという点であり、人間社会への影響は極めて限定的。そのせいでX-Menのような社会性は希薄であり、“コップの中の嵐”になってしまっているのだが、おそらくそれこそが本作の“狙い”だったのだろう。

すなわち、時間的にも空間的にも世間から隔離されたタイムループの世界こそが奇妙なこどもたちにとっての理想郷だという考えであり、そこでは選び抜かれた“最善の一日”が倦むことなく永遠に繰り返されるだけ。ジェイクの祖父であるエイブは、かつてその世界を飛び出してしまった訳だが、彼にとって必ずしも人間社会での暮らしが幸福だったとは言えないようであり、それはジェイクにとっても同じこと。

まあ、ちょっと性格は違うかもしれないが、障害者の地域移行を推進しようとする今の政策とは真逆の思想であり、現実的には受け入れ難いと言わざるを得ないのだろうが、あくまでも想像上の理想郷としてイメージするだけだったらそれもなかなか魅力的。誰か、老い先短い老人用のタイムループを作ってくれないだろうか。

ということで、まあ、実際の鑑賞に当たってはあまり難しいことは考えず、ティム・バートン流のダーク・ファンタジーだと思って楽しめば良い。奇妙なこどもたちがそれぞれの能力を発揮して敵と闘う姿はなかなか感動的であり、特に沈没船を浮上させる場面は大迫力の名シーンだったと思います。