ホワイトハウス・ダウン

2013年作品
監督 ローランド・エメリッヒ 出演 チャニング・テイタムジェイミー・フォックス
(あらすじ)
議会警察官ジョン・ケイルチャニング・テイタム)の娘で、別れた元妻と一緒に暮らしているエミリーはジェームズ・ソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)の大ファン。娘の気を引く目的で大統領のシークレットサービスになろうと思い立ったジョンは、面接試験を受けるため、彼女を連れてホワイトハウスを訪れるが、そこで謎の武装集団によるテロ事件に巻き込まれてしまう….


帰省中の娘が借りてきたDVDを家族揃って鑑賞。

ジェームズ・ソイヤー大統領は、大量殺戮兵器保持の証拠はないと判断したイランに対して平和条約の締結を申し入れるという、現職のオバマ大統領顔負けのリベラルな考えの持ち主であり、そんなことが実現したらアメリカの軍需産業は干上がってしまうと考える悪の勢力に対し、警察官のジョン・ケイルの助けを得ながら敢然と立ち向かうというストーリー。

まあ、こういったストーリーは基本的に好ましいとは思うのだが、観客に(安っぽい)感動を与えるためなら何事も辞さないというローランド・エメリッヒの手にかかると、この大統領の崇高な理念が何ともバカバカしい“漫画”に見えてしまうところがちょっと心配。作品中にも、ソイヤー大統領の“子どもっぽさ”を強調するようなシーンが見られた。

しかし、映画的な面白さからいうと、本作の本領が発揮されるのはこのバカバカしさが前面に出てくる終盤以降であり、出来の悪い「ダイ・ハード(1988年)」みたいな中盤までとは一転、ドタバタ喜劇のような傑作シーンが続出してなかなか楽しめる。

少々不本意ではあったものの(?)、大統領が車から身を乗り出しロケットランチャーをぶっ放すシーンでは思わず大笑いしてしまったし、主人公の娘であるエミリーが迫り来る戦闘機に向かって大統領旗を振り出したときには、そのあまりの臆面の無さに感動さえ覚えてしまった。

ということで、ソイヤー大統領に扮しているのはジェイミー・フォックスなのだが、“ペンは剣よりも強し”を文字通り実践して見せた末、最後は手垢の付きまくった方法によって復活を遂げるという、アカデミー賞俳優とは思えない役柄に果敢に挑戦。まあ、冗談の分かる人なのだろうが、もう少し仕事を選んだ方が良いのかもしれません。