レ・ミゼラブル 1995年10周年記念コンサート

1995年作品
製作 キャメロン・マッキントッシュ 出演 コルム・ウィルキンソン、フィリップ・クォース


1995年にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた初演10周年記念コンサートの記録。

国内盤は既に廃盤になっており、しかも、字幕が消せなかったり、ワイドスクリーンでない等、映像的に難があるらしいことから、アメリカのamazon.comから北米版を購入。もっぱらこの再生のために購入したリージョン・フリーのプレーヤーにおそるおそるディスクを挿入してみたところ、無事、再生することが出来た。

内容的には、以前、拝見させていただいた「レ・ミゼラブル 25周年記念コンサート(2010年)」と基本的に同じなのだが、会場が(相対的に)こじんまりしているせいか、セットや照明にはそれほどお金をかけていないようであり、25周年記念コンサートに比べると少々質素な感じがしてしまうのは否めないところ。

しかし、ロンドンやブロードウェイをはじめ、英語圏を中心に世界中から選りすぐられたという出演者はそれぞれ素晴らしい実力の持ち主ばかりであり、特にロンドン公演のオリジナルキャストであるコルム・ウィルキンソンによるジャン・バルジャンが拝めるのは誠にありがたい。

一方、敵役のジャベールにはわざわざ(?)オーストラリアからフィリップ・クォーストという俳優さんを連れてきているのだが、これが実に素晴らしい。普段の風貌は憎々しげなのだが、「Stars」を朗々と歌い上げる際にチラッと見せる誠実そうな一面は正しくジャベールその人であり、彼の存在感のおかげで、「レ・ミゼラブル」というお話のベースがジャン・バルジャンとジャベールの対立にあるということを再認識させていただいた。

また、これもロンドン公演のオリジナルキャストであるマイケル・ボールは、当初、マリウスを演じるには少々老け込み過ぎのように思えたのだが、見続けているうちにそんな違和感は何処へやら。歌唱力もさることながら、そのいかにも人の良さそうなキャラクターは、エポニーヌの一途な想いに気付かない“お坊ちゃま”のマリウスにピッタリだった。

ということで、派手さでは25周年記念コンサートに及ばないものの、出演者たちのキャラクターはこちらの方が原作のイメージに忠実であるような気がする。所々に挿入されるミュージカルの舞台の映像も非常に興味深く、1985年10月28日に幕を開けたというロンドン公演当時の雰囲気をちょっぴり味わうことが出来ました。