穂高岳(3日目)

今日は、パノラマコースを使って上高地まで下山する日。

午前3時頃にテントの中で目が覚めると、それからなかなか寝付くことが出来ず、仕方がないのでライトを点けて荷物の整理に取り掛かる。昨日とは違い、雲が多いため星空は見られなかったが、夜が明けてみると天気は引き続き安定しているようであり、徳沢園までの水分としてペットボトル2本をザックに装填して、5時38分にテント場を後にする。

涸沢ヒュッテに立ち寄り、入口の壁に貼られているパノラマコースの案内図をもう一度眺めてから、パノラマコースの入口(5時45分)に入ると、すぐに道幅の狭いトラバース道が始まり、ここを滑落に気をつけて慎重に進んで行く。間もなく軽装備の男性に追い越されてしまうが、ザックの調整にも慣れたせいか、足取りは初日より軽い。

と思っていたら、急な下りの箇所でザックに入れておいたペットボトルを落としてしまい、転げ落ちたボトルはあっという間に奈落の底へ。歩き出して早々にまだ一口飲んだだけのCCレモンを失ってしまったショックは大きいが、万が一のために空のペットボトルに水を詰めたものをザックの中に入れてきたので、水切れの心配はない。トラバースが終了して稜線に出ると滑落の危険は一段落であり、6時50分に屏風のコルに着く。

標識のところには先ほど追い越していった方のものと思われるザックが置かれており、俺もここにザックをデポして0.6km先と表示されている屏風の耳へと向かう。途中、小さな池の先の分岐を左に進んで賽ノ河原(7時8分)に立ち寄ってみたが、その先のルートが不明のため分岐まで引き返し、右に入って7時24分に屏風の耳(2565m)。頂上のちょっと手前で下山してくる先行者とすれ違うが、彼も保証してくれた山頂からの眺めは正に絶景であり、写真を撮るのに忙しくて自宅へメールするのを忘れてしまう。

さて、屏風のコル(7時52分)まで戻ってきても期待した後続者の姿は現れず、これでは何かトラブルがあっても誰かに助けてもらうことは期待薄。仕方がないので、この先、絶対にケガをしないことを心に誓い、石のゴロゴロした歩きづらい道をこれまで以上に慎重になって歩いていく。

お花畑を下り、2つの涸れ沢をトラバースした後は、大きな岩がごろごろしたところを急降下。水の流れている沢を渡るとナイロンザイル事件の遭難碑はもうすぐのはずであるが、何故かこれを見逃してしまい、広い林道(10時10分)を歩いて10時18分に新村橋を渡る。

ここから先は最早お馴染みのハイキングコースであり、徳沢園(10時33分)で山菜うどんを食べ、明神(11時29分)の自動販売機で購入したファンタグレープの缶ジュースを啜りながら12時10分に上高地到着。そこから先はバスと車とで無事帰宅することが出来た。この日の歩行距離は15.4kmだった。

ということで、2泊3日の涸沢&穂高岳初挑戦をほぼ予定どおり完了することが出来、まずは大満足。初日のテント泊が山小屋泊になってしまったのも、個人的には的確な判断だったと考えており、また、山小屋泊を初体験できたのも大きい。今年の北アルプス遠征はこれで終わりの予定だが、来年の遠征に向けていろいろと貴重な経験になりました。