ボーイ・ミーツ・ガール

1983年作品
監督 レオス・カラックス 出演 ドニ・ラヴァン、ミレーユ・ペリエ
(あらすじ)
恋人のフロランスを唯一人の親友に寝取られてしまったアレックス(ドニ・ラヴァン)は、夜の街角で、インターフォン越しに恋人と言争いをしている青年を見かける。その男の後をつけて一軒の店に入ったアレックスは、男のポケットから落ちた一枚の紙切れを拾い上げるが、それは男とその恋人のミレーユ(ミレーユ・ペリエ)に宛てられたパーティへの招待状だった….


レオス・カラックス監督の初長編作品であり、「アレックス三部作」の第一作目。

男の友人になりすましてパーティ会場に潜り込んだアレックスは、そこでミレーユと出会い、ここで目出度く“ボーイ・ミーツ・ガール”となるのだが、それが起きるのは映画も終盤に入ってから。

その後、しばらくの間、二人の他愛のない会話のシーンが続くのだが、あまりに他愛が無さ過ぎて、どんなことが話題になっていたのかほとんど記憶に残っていない。確か、ミレーユの身の上話(=歯が悪いのでチョコレートのCMモデルの話がフイになった。)があったような気がするが、いずれにしても恋人同士による楽しい語らいのイメージは皆無といってよい。

まあ、「ポンヌフの恋人(1991年)」もそうだったのだが、作品のタイトルから受けるイメージと実際の内容がこれほど異なる作品も珍しく、原題をそのまま使用することについて日本の配給会社がよく異を唱えなかったものだと感心しかかったが、実際は、この内容に相応しい邦題を付けてしまうと、作品の売り上げにマイナスの影響を与えかねないことを恐れただけなんだろう。

アレックスが壁に書かれたパリ市街地の落書きを使って自分の記念日を記録するところや、ミレーユのタップダンスなど、興味深いシーンも少なくなく、冗談みたいなラストを、種明かしのために視点を変えて2度繰り返すというアイデアも面白いと思うのだが、正直、カラックス監督がDavid Bowieを好きらしいこと以外、あまり理解できなかった。

ということで、「ポンヌフの恋人」の8年前の作品になる訳であるが、この間、アレックスの恋愛テクニックはほとんど上達しなかったようであり、特に相手側の都合を考慮することが出来ない幼稚さは大きな問題。次は「汚れた血(1986年)」を見てみようと思います。