リアル・スティール

2011年作品
監督 ショーン・レヴィ 出演 ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ
(あらすじ)
2020年のアメリカ。プロボクサーを引退したチャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)は、旅をしながら中古ロボットを闘わせることで生計を立てる毎日。ある日、別れた妻が亡くなり、残された一人息子のマックス(ダコタ・ゴヨ)の養育権について彼女の姉デブラと協議することになるが、金に困っていたチャーリーは10万ドルで息子の養育権を放棄すると持ちかける….


劇場公開時、都合がつかずに見逃してしまった“ロボット格闘技”映画。

結局、マックスの養育権はデブラへ移るが、彼女が夫と旅行に出かけている3ヶ月間はチャーリーが預かることになり、親子で巡業の旅へ。その途中、マックスはスクラップ置き場で“ATOM”というポンコツ・ロボットを入手するが、修理したATOMをロボット格闘技の試合に出してみたところ、なんと対戦相手をKOしてしまう。

まあ、ここからATOMの大活躍とチャーリー&マックスの親子関係の修復とが平行して描かれるという、ベタな展開になるのだが、ATOMが最強のロボット“ゼウス”との死闘を戦い抜くという感動のクライマックスを迎えても、俺の年老いて緩んだ涙腺からは一滴の水分も流れてこない。残念ながら、本作を劇場に見に行かなかったのは正解だったらしい。

その理由はいくつか考えられるのだが、一番大きいのはマックスとATOMの結びつきが決定的に弱いこと。一人暮らしだった鉄人28号の正太郎少年とは異なり、いつも実の父親と一緒のマックスには孤独感が希薄であり、そのため、ATOMに対してロボット以上の感情を持つ必然性が伝わってこない。彼がATOMに対して“友情”を抱いていたのなら、ゼウスに滅多打ちにされる様をとても正視できなかったことだろう。

また、肝心のロボット・バトルに何のアイデアもなかった点も大きな不満。ATOMの試合は3回あるのだが、いずれも“敵の猛攻に耐えて、最後は逆転”のパターンばかりであり、最後のゼウス戦でも、チャーリー仕込みのボクシング・テクニックにどのような実戦的効果があったのか、見ていて全く理解できなかった。

ということで、本作で唯一評価できるのは、CGによるロボットの動きがとても自然だったところ。この技術力をもってすれば、俺の愛する鉄人28号の実写化なんて朝飯前だと思われ、いつの日か、大人の鑑賞にも耐えられるガチなストーリーで映画化して欲しいと思います。