告白

2010年作品
監督 中島哲也 出演 松たか子西井幸人
(あらすじ)
ある中学校の終業式の日。1年B組の担任である森口悠子(松たか子)は、ざわついた雰囲気の生徒たちの前で、突然、今日限りで学校を辞めることになったと言い出す。実は、数ヵ月前、彼女の幼い一人娘の愛美がこの学校のプールに落ちて死亡したのは、警察が発表したような事故ではなく、このクラスの二人の生徒による殺人だったというのだ。そして、彼女の口からさらに恐ろしい事実が….


妻のリクエストにお応えして、中島哲也監督の最新作を一緒に鑑賞。

例によって、ここから素人探偵による犯人探しが始まるのかと思ったら、実はそうではなく、間もなく森口先生の発言によって犯人である二人の男子生徒がクラス全員に特定されてしまい、その後、彼等に命の大切さを実感させるために彼女が考案した恐ろし〜い“教育プログラム”の内容が披露される。

犯人の一人である渡辺少年(西井幸人)は、中学生ながら天才的な頭脳の持ち主であり、そんな女教師の復讐に屈することもなく、他のクラスメイトからの執拗なイジメも独力で克服。第二の殺人を経て、お手製の爆弾による集団殺戮を計画するのだが、結局、森口先生に心の内を見透かされてしまい、計画は失敗。やっぱり本当に怖いのは、子どもじゃなくて女なんだねえ。

本屋大賞を受賞した小説が原作ということで、確かにストーリーは良く出来ていると思うのだが、反面、殺人をはじめとする中学生たちの行動の動機が明確に説明されているため、あまり怖さは感じない。特に、渡辺少年の“狂気”の裏側にあったのが単なるマザコン、というオチは、あまりにも通俗的過ぎると思う。

また、森口先生がこのような私的制裁に訴えざるを得なかった理由として、たびたび少年法の規定(=13歳以下の子どもは人を殺しても罪に問われない。)が紹介されるのだが、実際に人を殺した少年少女やその家族に対する社会的制裁の凄まじさは容易に想像できるところであり、安易な少年法批判はあまり感心できなかった。

ということで、決して社会派作品という訳ではないのだが、かといってこのストーリーを娯楽として消費するにはちょっと演出が真面目過ぎるため、見終わってからの印象は良好とは言い難い。また、母と子の絆ばかりが強調されていて、父親の存在がほとんど無視されている点もちょっと不満です。