僕のエリ 200歳の少女

2008年作品
監督 トーマス・アルフレッドソン 出演 カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション
(あらすじ)
12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)は、ストックホルム郊外のアパートで母親と二人暮らし。学校では同級生からのイジメの対象になっているが、教師や母親に相談することも出来ず、復讐を夢想しながら孤独な日々を送っていた。そんなある日、アパートの隣の部屋にエリ(リーナ・レアンデション)という彼と同い年の少女が父親と一緒に引っ越してくるが、それと時を同じくして町ではおぞましい連続殺人事件が….


話題作「Let Me In(2010年)」のオリジナルとなるスウェーデン映画。

酷い邦題のせいもあって、このエリという少女の正体がヴァンパイアであることは見る前から“公然の秘密”状態。従って、彼女の父親らしき中年男が実は彼女のボーイフレンドの成れの果ての姿であることにも比較的早い段階で気付かされてしまうのだが、まあ、制作側もあまりこのネタで引っ張るつもりはなかったらしい。

吸血鬼の伝統的設定にもかなり忠実であるが、直射日光を浴びただけで肉体が派手に炎上したり、血を吸った人間が吸血鬼にならないように最後はきちんと止めを刺すといったあたりはなかなか現代的。オスカーのちょっとした意地悪で入室の許可を得られなかったエリが、みるみるうちに全身血まみれになっていくシーンもかなり衝撃的である。

まあ、自分の誕生日すら覚えていないということで、彼女の実年齢が何歳なのか作品中でも特に説明はないのだが、相当の高齢であるのは間違いないところであり、恋の駆け引きにおいても純情なオスカー君より確実に数枚上手。ヒット・ アンド・アウェイによる絶妙な間の取り方により、彼の気持ちを見事捕らえてしまう。

その一方、情緒的な面ではあまり成長していないようであり、彼女の我侭で残酷な一面はほとんど12歳の子どものまんまといって良い。元ボーイフレンドの気持ちを知りながらオスカー君に近付いたのも、やはりオジサンとはあまり話が合わなかったからなんだろうなあ。

ということで、なかなか面白く見終わった後、ネットで情報を確認していたところ、このエリという主人公、実はメリーベルではなくエドガーであったことが判明。DVDの映像からは分からなかったが、彼女が2度ほど口にする“女の子じゃないから”というセリフにそういう意味が込められていたとは、正直、全く気付きませんでした。