借りぐらしのアリエッティ

ピクサーの次はジブリということで、今日は、家族で「借りぐらしのアリエッティ」を見に行ってきた。

脚本は宮崎駿が担当しているものの、監督はこちらも米林宏昌という新人の方ということで、期待と不安が半々のような気持ちで鑑賞に臨んだ訳であるが、残念ながら個人的には不安の方が的中してしまったという感じ。決して駄作という訳ではないんだけど、ジブリの新作長編としてはかなり物足りない。

まあ、ピクサーと違って、ジブリ作品には一定のカラーというものが希薄なため、監督が替われば作品のテイストが変化するのも仕方ないのだろうが、物語の舞台となる郊外の古い屋敷に翔が初めてやって来る冒頭シーンの平凡さは、「となりのトトロ(1988年)」のオープニングに比べると悲しくなるばかり。

さらに、最初のクライマックスとなるべきアリエッティが初めて“借り”に出かけるシーンも、状況的には完全に宮崎駿なのにもかかわらず、動きの方はサッパリであり、結果的に“狩”に特有の緊迫感や高揚感といったものがほとんど観客に伝わってこない。

だいたい、この“借り=狩”という(単なる言葉遊びではない)認識こそが狩猟民族たる小人たちのプライドの原点であり、そこから、彼等が人間からの施しは勿論、黙認さえも拒否するという姿勢に繋がっていくのだと思うが、あのハイキングに毛が生えた程度の“借り”の描写からは、この基本設定を読み取るのはなかなか容易でない。

ということで、あの家政婦は実は小人たちの絶滅を狙う組織のスパイであり、アリエッティやスピラーが翔と協力して悪の組織に立ち向かう、というラストを期待していたのだが、映画は大した波乱もないままにあっさりと終わってしまう。まあ、こちら展開に関しては、「借りぐらしのアリエッティ2」(?)に期待したいと思います。