ダウンタウン物語

1976年作品
監督 アラン・パーカー 出演 スコット・バイオ、フローリー・ダガー
(あらすじ)
禁酒法時代のニューヨーク。ブラウジー(フロリー・ダガー)は、ギャングのファット・サムが経営する闇酒場“満塁亭”の歌手に雇ってもらおうと彼の事務所を訪ねるが、自分の縄張りを狙っているダンディ・ダンのことが気が気でないサムは、“明日来い”というだけでまともに取り合おうとしない。気落ちした彼女に、ちょうどそのとき店にいたバグジー・マローン(スコット・バイオ)が優しく声をかけるが….


アラン・パーカーの監督デビュー作。

新兵器を手に入れたダンディ・ダンは、それを使ってファット・サムの支配下にある施設を次々に襲い、遂にはサムの部下を皆殺しにしてしまう。困ったサムは、機転の利くバグジー・マローンを仲間に引き入れ、なんとか失地回復を狙う、というストーリーのイギリス製ギャング映画なのだが、登場する人物はすべて子供が扮しているという異色作品。

そのため、流血シーンでは血の代わりに生クリームが使われており、新兵器というのも直径4〜5cm程の生クリームの塊を連続して発射することが出来るマシンガンのこと。それまでは、どうやらパイ投げで戦っていたらしい。また、ギャングたちの乗るクラシックカーに自転車式のペダルが付いているのも面白い。

まあ、「ゴッドファーザー(1972年)」の公開以降、血飛沫の飛び交うようなギャング映画がハリウッドで大量に製作されたことに対する一種のパロディ的な意味もあるんだろうが、細かいところまで丁寧に作られており、イギリス映画ながら、本場の雰囲気を上手く出していると思う。

バグジーやサムに扮している子役もなかなか上手いのだが、サムの情婦タルーラ役で出演しているジョディ・フォスター(公開当時14歳)の妖艶な演技はやはり群を抜いており、貫禄も十分。当時、一足先に公開された「タクシードライバー(1976年)」での演技が注目を集めていたこともあり、本作のPRでも主演の二人より彼女の方が大きく取り上げられていたという記憶がある。

ということで、本作の存在自体は昔から知ってはいたが、アラン・パーカーが監督していたとは迂闊にもつい最近まで気付かなかった。しかも、ミュージカル仕立てということで、主題歌をあのポール・ウィリアムスが歌っているのだが、流石に名曲“An Old Fashioned Love Song”の作曲者らしく、そのノスタルジックな雰囲気は本作にピッタリでした。