ブルックリン横丁

1945年作品
監督 エリア・カザン 出演 ペギー・アン・ガーナー、ドロシー・マクガイア
(あらすじ)
20世紀初頭のブルックリン。フランシー(ペギー・アン・ガーナー)は、歌手になる夢を捨てきれない夢想家の父親ジョンと、謹厳実直な母親のケイト(ドロシー・マクガイア)、それに双子の弟ニーリーと4人で貧しくとも幸せに暮らしていた。ケイトには男出入りの激しいシシーという姉がおり、フランシーも彼女を友達のように慕っていたが、子供たちへの影響を懸念したケイトは、シシーにもう家に来ないで欲しいと言い渡す….


エリア・カザンの初監督作品(らしい)。

父親のジョンは酒場の歌手兼ウェイターであり、いつか興行主に認められてプロの歌手になるという夢をいつも子供たちに話して聞かせている。子供たちはそんな父親が大好きな訳であるが、実際の彼はアル中であり、僅かな稼ぎを酒代に注ぎ込んでしまうため、家計はいつも火の車。妻のケイトが、住んでいるアパートの掃除婦のような仕事をすることによって、何とか生計を維持している。

まだ幼い長女のフランシー(=11、2歳くらい?)は、一家を支えるためにどうしても現実的にならざるを得ないという母親の事情を十分に理解することが出来ないでいるのだが、そんなとき、ケイトが3番目の子供を妊娠していることが判り、それがきっかけとなって無理をしたジョンがあっけなく死んでしまう・・・

本作は、そんな主人公のフランシーが、夢と現実とのギャップに悩みながら、父親の死と新しい兄弟の誕生を通して精神的にも成長し、母親とお互いに理解し合えるようになるまでを描いている訳であるが、同時に彼女を取り巻く様々な人物の暮らしぶりがいきいきと描写されており、全体としてとても楽しい作品に仕上げられている。

難を言えば、上映時間が128分とこの手の作品としては少々冗長気味なところであり、単なる夢想家と思われていた父親のジョンが、彼の死後、実は多くの町の住人から愛されていたことが判明し、そういった人々の中からフランシー達のその後の生活へ援助の手が差し伸べられる、という感動的なシーンで終わりにしておく手もあっただろうと思う。

ということで、まあ、初監督作品ということで後の大物であるエリア・カザンもついつい力が入り過ぎてしまったのかも知れないが、画面の隅々にまで神経の行き届いた演出ぶりは流石であり、そんな彼の期待に十分に応えた主演のペギー・アン・ガーナーもなかなかの熱演でした。