おくりびと

2008年作品
監督 滝田洋二郎 出演 本木雅弘広末涼子
(あらすじ)
所属していた楽団が突然解散してしまい、大悟(本木雅弘)はチェロ奏者の夢を諦め、妻の美香(広末涼子)と一緒に故郷の山形へと帰って来る。職探しを始めた彼は、“旅のお手伝い”という求人広告を見て面接に行くが、その会社の本当の仕事は“安らかな旅立ちのお手伝い”をする納棺師。社長の佐々木の強引な誘いを断りきれなかった大悟は、妻に詳しい説明をすることなく、納棺師の見習いをすることになる….


昨日、TVで放映されたものを録画して家族で鑑賞したのだが、あまりタグを増やしたくないので[DVD]ということにしておく。

2008年のアカデミー賞で、見事、外国語映画賞に輝いた作品であるが、当時、そのせいで映画の内容がTVで繰り返し紹介されたお陰で、見る気が失せてしまった。今回、TVならタダということで改めて拝見させて頂いた訳であるが、主人公が納棺師という仕事の魅力に次第に惹かれていく一方で、それを理解できない妻が家を出て行ってしまうというストーリーは、TVによる事前情報から推察された内容と全く同じ。

ちょっと意外だったのは、前半がコメディタッチで描かれているところであり、主演の本木雅弘と社長役の山崎努の息の合った演技のせいもあって、これは嬉しい誤算となっている。また、TV画面での限られた映像を見ただけで言うのも何であるが、絵作りにもそれなりの配慮が払われているようであり、こういったところがアカデミー賞外国語映画賞の選考においても評価されたのだと思う。

後半になって、主人公に近しい人物が相次いで亡くなることを契機に夫婦間のわだかまりが解消するという展開には、少々ご都合主義的な臭いがしないでも無く、全体的にこれといった新機軸も見当たらない作品ではあるが、まあ、「20世紀少年〈最終章〉ぼくらの旗(2009年)」や「カムイ外伝(2009年)」を見せられた後では、もうこれで十分に満足できるレベルと言わざるを得ない。

ということで、本作は、納棺師の仕事が世間から賤業として見られているという前提に立っているのだが、昨年のリーマンショック以降の就職難の状況を考えると、この前提が今でも成り立つのかどうか少々疑問に思われなくもない。経験不問で初任給が50万円ならば、やってみたいと思う人は結構沢山いるのではないでしょうか。