サマーウォーズ

この週末もどうも天気がいま一つということで、家族で「サマーウォーズ」を見に行ってきた。

前作「時をかける少女(2006年)」がとても面白かった細田守の初長編オリジナル作品であるが、TVでの宣伝は本作と同じ日に公開されたディズニーの「ボルト」の10分の1くらい。お客が入っているかちょっと心配だったが、予想に反して会場はほぼ満席に近い状態であり、ネットで予約しておかなかった我が家はかなり前の方の席で鑑賞することになってしまった。

内容は、ネット上の仮想世界OZ(オズ)に侵入してきたラブマシーンというAI(人工知能)によって引き起こされた大事件に主人公である高校生の健二が立ち向かうというもので、まあ、かなり若者向けの設定になっているのだが、その健二をバックアップするのが長野県上田市の郊外に屋敷を構える陣内家一族の面々であり、この大家族の描写を通して古き良き時代への郷愁みたいなものも感じさせてくれる。

このへんの“見事なバランス”が細田監督の計算によるものなのか、それとも本当に彼の描きたかったものなのかはよく判らないが、曾祖母の栄を筆頭とするこの陣内家一族の描写が本作の大きな魅力になっていることは間違いなく、子供の頃に親戚の家に行くのが大嫌いだった俺も、ついつい“あー、あんなこともあったなあ”なんて懐かしさを覚えてしまった。

一方、ラブマシーンVSキングカズマの格闘シーンをはじめとするOZ世界の描写も見事であり、ラストの花札勝負もスピード感があってとても良かったと思う。また、勝負の途中で世界各国の多くの人々が助けてくれるシーンは、ありきたりではあるがなかなか感動的であり、家族主義的な陣内家一族の描写に対する程良いアンチテーゼにもなっているのだろう。

ということで、メッセージ的には全面的に賛成する訳にはいかないものの、娯楽作品としてはまずは無難な出来上がりとなっており、どうやら細田監督には次回作も期待できような雰囲気。できれば2年に一作くらいのペースで良質な作品を発表してもらいたい。それと、高校野球のエースという体育会系男子を端役扱いにし、暗号解読が得意な文化系男子を主役に据えた点に関しては全面的に支持させて頂きます。