1952年作品
監督 ハワード・ホークス 出演 カーク・ダグラス、デューイ・マーティン
(あらすじ)
1930年代の西部。ジム(カーク・ダグラス)は、旅の途中でブーン(デューイ・マーティン)という若者と知合いになり、一緒にセントルイスへとやって来る。そこで、ブーンの叔父である猟師のゼブから、ミズーリ河を船で上流まで遡り、これまで白人と交易したことのないブラックフット族から大量の毛皮を仕入れるという計画を聞き、二人はそれに参加することにしたが….
ハワード・ホークスが「モンキー・ビジネス(1952年)」と同じ年に公開した作品。
ゼブ達はブラックフット族の酋長の娘であるティール・アイを保護しており、彼女を連れ戻すという口実で彼等に接触を図ろうとする訳であるが、ミズーリ河を動力を持たない船で遡るのは実に大変な作業であり、さらに毛皮取引を一手に牛耳ろうとする毛皮商会の妨害もあって、彼等の計画は度々とん挫の危機にさらされる。
インディアンの襲撃シーンなんかも登場するので、ジャンル的には西部劇に分類されるのだろうが、本作で一番印象的なのは、「The Big Sky」という原題にも表わされている広大な自然を背景に、オールやロープを使ってミズーリ河を船で遡って行くシーンであり、むしろアドヴェンチャー物的な雰囲気が色濃い。
一方の人間ドラマの方は、ジムとブーンの男の友情をベースに、エリザベス・スレット(=実際にインディアンの血を引いているらしい。)扮するティール・アイを絡ませた三角関係が中心になるが、ゼブをはじめとする脇役の方に魅力的なキャラが揃っていることもあって、上手く描かれているとは言い難い。
主演のカーク・ダグラスは比較的性格温厚なキャラを演じており、珍しく少々控えめな役回りであるが、そのせいで存在感まで希薄になってしまっているのは困ったもの。また、デューイ・マーティン扮する相棒のブーンにしても、性格の掴みにくい何とも中途半端なキャラクターであり、あまり魅力的とは思えない。
ということで、全体の完成度からすると名作と呼ぶにはちょっと躊躇するような出来であるが、その風格というか、スケールの大きさには捨てがたい魅力がある。独立プロの作品のためにモノクロになってしまっているが、これがカラーで、しかもオールスターキャストで製作されていたら、さらに素晴らしい作品になっていたことでしょう。