1993年作品
監督 ハロルド・ライミス 出演 ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル
(あらすじ)
テレビのお天気キャスターのフィル(ビル・マーレイ)は、プロデューサーのリタ(アンディ・マクダウェル)等と一緒に毎年2月2日にパンクスタウニーという田舎町で行われるグラウンドホッグ・デーの取材にやって来た。あまり乗り気のしないフィルは、この仕事を適当に片付けてさっさと都会に帰ろうとするが、突然の吹雪のために止む無くこの町にもう一泊することに。そして、翌朝、彼が目覚めると、何とその日は2月2日だった…
映画評論家の町山智浩氏が“ニーチェの思想をドラマで表現した名作”と紹介していた作品。
周囲の世界は毎朝2月2日に戻ってしまうんだけど、フィル自信が身に付けた知識や技能はちゃんと蓄積されていくという設定のため、彼はこれを利用してリタのハートを射止めようと一計を案じる。すなわち、彼女とのデートで何か失敗をしたとしても、次のときにはそれを修正することが出来る訳であり、これを繰り返していけばいつかは完璧なデートを実現出来る筈・・・
似たようなアイデアの作品は他にもあったような気もするが、それを深刻な事態として取り扱うことを避け、他愛のないラブコメに仕立て上げているあたりがなかなか面白い。また、この失敗の繰返しの中で少々自信過剰で鼻持ちならない性格だったフィルが次第に変化していく訳であるが、その過程を説教臭くなること無く、自然に描いている点にも好感が持てる。
“何故、フィルが2月2日より先に行けなくなってしまったのか”という点に関して、最後まで明快な説明は無いんだけれど、まあ、そこは他愛のないラブコメということで、野暮な説明抜きでもあまり気にはならない。正直、ニーチェの思想とどの程度リンクしているのかは不明であるが、本作自体、とても良くできたお話しであることは間違いない。
ということで、原題にもなっている「グラウンドホッグ・デー」というのは、ウッドチャックを使って春の訪れを予想する行事が行われる日のこと。確かに、“冬眠から覚めたウッドチャックが、外に出て自分の影を見ると驚いて巣穴に戻ってしまう”という言い伝えは、フィルの陥ったこの不思議な現象とどこかイメージ的に繋がっているような気がします。