WATCHMEN

本ブログでは、これまでマンガの話題については触れなかったんだけど、本書は“グラフィックノベル”という範疇に属するらしく、タイム誌による“1923年以降に発表された長編小説ベスト100”にも選ばれたということで、ちょっと例外扱い。

俺自身、マンガは決して嫌いではないんだけれど、ある時点から一部の少女マンガ以外は体質的に受け付けなくなってしまった故、現在は、娘が毎週愛読している少年ジャンプにも全く手が伸びないといった状態。したがって、アメコミなんか読む筈もない訳であるが、最近映画化されたのを機に、本書を傑作と評する声をあちこちで耳にするようになり、ちょっと興味を持った次第。

さて、本書で描かれているのは、スーパーヒーローが実在しているという、もう一つの世界での出来事。しかも、現在はスーパーヒーローの活動が法律で禁止されているっていうあたりまでは「Mr.インクレディブル(2004年)」と同じなんだけど、暴力描写は露骨であり、内容的にも相当に病んでいる。また、日本のマンガに比べて、圧倒的にセリフが多い半面、コマ割は単調で、俺の苦手な「ゴルゴ13」もビックリというくらい絵に動きがない。

そんな訳で、最近、悪化傾向にある老眼のせいもあり、読み始めはとても取っ付きにくかったんだけど、一度ハマってしまうとこれが噂どおりの面白さ。特に、Dr.マンハッタン(=この名前は、あのマンハッタン計画に由来する。)の火星での暮らしぶりや、ロールシャッハの正体が明かされた後の一連のエピソード等は凄まじいまでに魅力的であり、最近の「バットマン」を始めとする他のアメコミ作品に多大なる影響を及ぼしたということも良〜く理解できる。

まあ、ストーリーのバランスが悪く、後半、ちょっと息切れしてしまったような印象もあるが、傑作という世間の評価には全く異論はなく、この作品がどんな具合に映画化されたのかも興味津々。読ませようかどうか迷っているうちに本書を勝手に読んでしまった娘も連れ、公開され次第、映画館に直行せねばと思ったが、調べてみると映画の方は「R-15指定」。うーん、娘には悪いが、俺一人で見に行くことになりそうだね。

ということで、今、俺が楽しみにしているマンガは、吉田秋生の「海街diary」、こうの史代の「この世界の片隅に」、山岸凉子の「舞姫 テレプシコーラ」、それと末次由紀の「ちはやふる」くらいかなあ。勿論、単行本化されてから読んでいる訳であるが、前2作の刊行ペースがかなり遅いところがちょっとした難点です。