あなたになら言える秘密のこと

2005年作品
監督 イザベル・コイシェ 出演 サラ・ポーリーティム・ロビンス
(あらすじ)
いつも一人で黙々と仕事に励むハンナ(サラ・ポーリー)は、工場の他の従業員から孤立しており、ある日、彼女の働き過ぎが問題となって、なかば強制的に一月間の休暇を言い渡されてしまう。あてもなく旅に出た彼女は、事故のため看護師を必要としているという話を偶然耳にし、海上に建てられた油田掘削所でジョゼフ(ティム・ロビンス)というひどい火傷を負った男性の看護をすることになる….


スペインの女流監督イザベル・コイシェの作品だが、イギリスが舞台らしい。

油田掘削所で発生した火災によって重度の火傷を負ったジョゼフは、ベッドに寝たきりな上、一時的に視力まで失っている状態。そんな彼にはハンナに話しかけること以外にすることが無く、無口だった彼女も次第に彼に対して心を開くようになる。そして、翌日に入院することが決まった彼に、彼女は自分の祖国であるクロアチアで戦時中体験した悲惨な過去を打ち明ける・・・

ハンナの孤独な日常が描かれる序盤は相当に取っ付きにくく、正直、ここで二度ほど居眠りをしてしまったくらい。舞台が油田掘削所に移り、絶海の孤島のような場所を職場に選んだユニークな人々が登場するようになって、ようやくストーリーは面白くなってくるのだが、ハンナの驚くべき秘密が明らかになった時点で、再び全く別のお話しになってしまう。

まあ、見終わってみれば、なかなか印象に残る作品であったと言える訳であるが、個人的にはあまり上手い脚本(=こっちもイザベル・コイシェが担当している。)だとは思えない。とても重いテーマである故、“お話し”にはしたくないという気持ちも解らなくはないが、その割に話しの進め方は相当強引だし(=例えば、あんな体験をしたハンナが、男だらけの油田掘削所行きを自ら望むのは相当不自然なのでは?)、結末もちょっと安易すぎるだろう。

ということで、途中で置いてきぼりにされてしまった油田掘削所で働く人々のことがとても気掛かりであり、ジョゼフが入院して以降のエピソードはすべてカットしてでも、彼等の話しをもっと聞いてあげたかった。そして、ハンナの告白によってジョゼフとのハッピーエンドを予感させながら終わるっていうストーリーだったら、もっと単純に感動出来たのかもしれません。