WALL・E/ウォーリー

公開中のピクサーの最新作「WALL・E/ウォーリー」を家族で見てきた。

最初、ゴミで溢れかえった29世紀の地球の様子が描かれる訳であるが、この埃っぽいシーンの映像が実写を超えたと言って良いほどに素晴らしい。そして、そこで一人黙々と仕事に励み、昔のミュージカル映画に心の慰めを求めるウォーリーの姿に、もう、観客のハートは鷲掴み状態。

続いて、最強のツンデレ・ヒロインのイヴが登場し、ここから舞台は宇宙へと移っていく。考えてみたら、ピクサー・アニメで宇宙が本格的な舞台になったのは、意外にもこれが初めてのような気もするが、ここでの映像もとても美しい。そのあと「2001年宇宙の旅(1968年)」をモチーフにした“事件”が発生するが、ラストはお約束のハッピーエンド。

作品のテーマとか、キャラクター設定自体は決して目新しいものではなく、昔のハリウッド映画を探せば似たような作品は沢山でてくるような気もするが、それを最新のCGを駆使して描き直すとこんなに魅力的な作品に生まれ変わってしまうのがとても楽しく、家族一同、十分に楽しませて頂いた。

ただし、一点だけ、作品の後半で“人類の退廃と再生”みたいなものを取り上げているところだけは、ちょっと困ってしまった。もちろん、本作においてそれはネタに過ぎず、テーマでないことは十分理解しているつもりではあるものの、モノがモノだけにどうしても気になってしまう。

まあ、あくまでも家族向けの娯楽作品なんだから、そこは“安易”とか“唐突”とか、あまり深く考えずに、サラッと流してしまうのが本作の正しい鑑賞方法なんだと思うけど、こういった負担を(一部の?)観客に強いてしまうあたりは、やっぱりちょっとした計算ミスだったのかもしれないね。

ということで、せっかく本作で舞台を宇宙まで広げたところなので、次回作では、本来CGアニメと親和性の強いはずのスペース・オペラに是非とも挑戦していただきたい。ここのところ年に数本のペースで製作されている動物たちが主役のCGアニメは、正直、もう見飽きました。