次郎長三国志

1963年作品
監督 マキノ雅弘 出演 鶴田浩二山城新伍
(あらすじ)
刃傷沙汰を起こし、そのほとぼりが冷めるまで故郷を離れていた米問屋の山本長五郎鶴田浩二)が、2年ぶりに恋人のお蝶の待つ清水港へと帰ってくる。この旅で無宿者の“次郎長”として腕と度胸を磨いた彼のもとには、旅先で知り合った桶屋の鬼吉(山城新伍)の他、関東綱五郎、大政、法印大五郎といったユニークな子分たちが続々と集まって来た….


最近、津川雅彦が“マキノ雅彦”名義でリメイクした「次郎長三国志」のマキノ雅弘版。

実は、マキノ雅弘には1950年代に製作された東宝版(全9話)と1960年代に製作された東映版(全4話)とがあるらしいんだけど、前者は未だにDVD化されていないようなので、今回は後者の方を鑑賞させて頂いた。

これまで映画、TVドラマ、演劇、浪曲等で幾度となく繰り返し接してきたお話しということで、ストーリー的には全く新鮮味は無く、次郎長一家がどんなに大勢の敵を相手にしても最初から結果が判っていたのでは緊張感とかを感じられる筈もない。

まあ、そのストーリー自体がご都合主義の連続であり、こういった作品はあまり細かいことに拘らず、鶴田、山城、松方弘樹大木実津川雅彦佐久間良子藤純子、そして藤山寛美といった往年の大スター達の若かりし頃のお姿をのんびりと拝見させて頂く、というのが正しい鑑賞法なんだろう。

ただし、マキノ雅弘の演出はとてもスピーディーな反面、時代劇にしては淡白過ぎるっていうか、ちょっと盛り上がりに欠けるように思われ、当時としてはこういうのが新鮮だったのかも知れないんだけど、見ていて何か物足りない。おそらく、キャラクター毎にもっとハッキリとした形で見せ場を用意してあげるべきだったのではなかろうか。

ということで、見る前に期待していたような“痛快さ”を本作から感じ取ることができず、正直、あまり面白くなかった。ラストで森の石松らしきキャラが出てくるんだけど、これが長門裕之では続編を見てみようという気もいま一つ起こらない。やっぱり東宝版の方で森繁久弥扮する石松を見てみたいところです。