20世紀少年

この間、やっと完結したばかりである浦沢直樹の長編マンガ「20世紀少年」が早くも映画化されたということで、家族で見に行ってきた。

マンガで読んでから相当時間が経っているので細かいところまでは判らないが、三部作の第一部となる本作では、最初のクライマックスである2000年の“血の大みそか”事件までがほぼ原作に忠実に映画化されていたように思われる。ただし、脚本的にはあまり工夫の跡は見られず、まあ、膨大なストーリーを要領良くまとめているといった印象の方が強い。

TVでは連続ドラマのダイジェストみたいな番組を時々放送しているけど、ちょうどあんな感じかなあ。苦労してマンガのキャラクターに似た俳優さんを選んだというせいもあって、ことさらマンガのダイジェスト版を見ているっていう気になってしまうんだけど、これって作品的にはどうなんだろう。

まあ、少なくともウチの家族は全員マンガを読んでいるんで大きな問題はないんだけど、そうじゃない人にとっては随分ストーリー展開が強引に思えたんじゃないかなあ。特に、“血の大みそか”事件の直前にモンちゃんとフクベエが仲間に加わるあたりは、俺の目から見ても相当唐突な印象を受けたくらい。

それと、実は、本作のCMを劇場やTVで目にするたび、“大作”という宣伝文句とは裏腹なその薄っぺらい絵作りがとても気になっていたんだけど、その不安は見事に大当たり。まあ、監督があの「トリック」シリーズの堤幸彦ということを考えれば、それもしょうがないんだろうけど、何とも緊張感の欠けた、絵にならないようなシーンの連続となっている。

俺としてはストーリー的にはマンガのダイジェスト版に徹していただいてかまわないから、せめて映像的にはマンガでは表現し得なかったスケールの大きさや重厚感みたいなものを表現して欲しかった。堤幸彦を監督に選んだ人っていうか、この作品の映画化を考えた人達って、映画化に際して何か夢とか志ってもんは持っていなかったのかねえ。

ということで、娘も喜んでいたんで、おそらく第2部も見に行くことになると思うけど、俺にとって残された興味はこのままどこまで原作に忠実に行くのかっていう点のみ。まあ、第2部はカンナの大活躍を描けば映画らしくなるとしても、ケンヂ復活以降が描かれるであろう第3部は原作のままでは映画にならないだろう。それに、本作で描かれたあの同窓会にカツマタ君は出席していなかったよね?