七月のクリスマス

1940年作品
監督 プレストン・スタージェス 出演 ディック・パウエル、エレン・ドリュー
(あらすじ)
ジミー(ディック・パウエル)とベティ(エレン・ドリュー)は、同じ会社に勤める恋人同士。安給料のジミーは、結婚資金欲しさにあるコーヒー会社が主催するキャッチコピーのコンテストに応募するが、なかなか決まらない結果が気になって仕事が手につかない。そんな彼をからかうつもりで、会社の同僚が当選したというニセの電報を偽造したところ、それを信じ込んでしまったジミーは….


プレストン・スタージェスの監督第2作目。

有頂天のジミーは、会社での昇任も手に入れ、ベティと一緒に意気揚々とコンテストを主催したコーヒー会社へと乗り込んでいく。まあ、普通ならこの時点で彼の当選が間違いであることが判明するんだけど、あにはからんや、コーヒー会社の社長の勘違いによって何と彼等は賞金25,000ドルの小切手を受け取ってしまう。そして、その金で近所の人たちに山のようなプレゼントを配るというのが本作の題名の由来。

当然、この後、彼の当選が間違いであったことが判明し、一騒ぎ起きる訳だけど、最後はスタージェス作品のお約束どおりハッピーエンドで終わる。まあ、上手くまとめたと言いたいところではあるが、ストーリー展開にやや強引なところが散見され、正直、オチにもそれほどの意外性は感じられなかった。

また、主演のお二人の演技に魅力がないのも本作の大きな弱点であり、見ていて彼等の誠実さみたいなものは伝わってくるものの、脚本の強引さをカバーするようなパワーはまったく見られない。難航するキャッチコピーのコンテストの審査員の一人に、スタージェス作品の常連であるウィリアム・デマレストの顔があったので、ラストでは彼の大活躍を期待していたんだけど、残念ながらそれ程のもんではありませんでした。

ということで、68分という上映時間からも判るとおり、本作は割とあっさりとした内容の小品であり、小説で言ったらワンアイデア・ストーリーみたいなもの。この翌年公開された傑作「レディ・イヴ(1941年)」のような濃厚なコメディを期待するとちょっとがっかりするけれど、わずか13本しかないスタージェス作品の中の一本ということを考えれば、まあ、見られただけで満足というところです。