ボーン・アルティメイタム

2007年作品
監督 ポール・グリーングラス 出演 マット・デイモンデヴィッド・ストラザーン
(あらすじ)
英国の新聞記者が、ジェイソン・ボーンマット・デイモン)に関する記事を新聞に掲載した。彼は、“トレッドストーン計画”のアップグレードである“ブラックブライアー計画”に関する取材を独自に行っていたが、その情報を入手したニューヨークのCIA対テロ極秘調査局長ヴォーゼン(デヴィッド・ストラザーン)は、ロンドンの現地要員に対してその新聞記者を監視するよう指示する….


ボーン・スプレマシー(2004年)」に続くボーン・シリーズ三部作の完結篇。

前作と同様、“過去の記憶の断片”からストーリーは始まるんだけど、今度の記憶は彼がトレッドストーン計画の最高傑作“ジェイソン・ボーン”として生まれ変わる以前のものであり、その記憶を辿ることによって彼がどのようにして殺人マシーンになったのかという秘密が明かされていく。

しかし、前作のラストシーン、ボーンがCIAのパメラ・ランディから彼の本名を告げられるという件は、実は、本作の相当後半の方に発生したエピソードだった訳であり、ニューヨークにおいて彼の最後の“自分探し”が開始されるまでに、再びヨーロッパ(と北アフリカ)各地を舞台にした息詰まるアクションシーンが展開される。

まあ、監督が前作と同じということで、前作の目玉だったカー・アクションはちょっと抑えめにして、代わりにオートバイや“鬼ごっこ”を取り上げるという工夫は見られるものの、作品の雰囲気なんかは前作とほとんど同じ。本作ではもっとボーンの内面的な部分にウエイトが置かれるのじゃないかという期待はハズレたけれど、面白かった前作の“続き”として見ればやっぱり十分に面白い。

出演者では、パメラ・ランディに扮したジョーン・アレンの出番が減ってしまったのはちょっと残念だったけど、それとは対照的に第1作ではほんの端役であったニッキー役のジュリア・スタイルズの存在感がどんどん大きくなってくるあたりはとても面白い。また、初登場のアルバート・フィニーは流石の貫録です。

ということで、前二作と異なって本作には“子供”は全然登場せず、それがシリーズのキーワードになると予想していた俺にとってはちょっと残念な結果。要するに、ボーンの中の人であったデイヴィッド・ウェブが単に子供好きだったっていうだけのことなのかね。